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ごあいさつ

名古屋大学総長 濵口道成
名古屋大学総長
濵口道成

名古屋大学は、その起源を1871年(明治4年)に尾張藩仮医学校として設立されたことに始まりますが、1939年(昭和14年)に総合大学としての名古屋帝国大学として設立され、昨年5月1日で創立70周年の節目を迎えました。

さて、一昨年米国に発した経済危機は、世界のあらゆる面に波及しつつあり、知の拠点である大学も、このような社会情勢に無縁の存在ではありえません。流動しつつ多極化する時代の中で、法人化された大学組織がいかに生き抜くか、高等教育機関としてどのような次世代の人材を育成していくのか。いま、我々に投げかけられている問いは重いものがあります。しかし、確かに厳しい状況はありますが、本学には高度な知識と見識を持った最高の人材が集まっています。従って、その活力を明確なミッションとして結実させることができれば、いま我々の直面する困難も十分克服可能であると考えます。同時に、日本の基幹大学・総合研究大学として、我々は日本の行く末と若者の将来に大きな責任を持っています。どのような状況にあっても、常に社会の要請に耳を傾けつつ、有為の人材を育成していくことが我々の使命であるといえます。

自由闊達な学風を誇り、新しい時代を切り開くことのできる「勇気ある知識人を育成する」ことを大学の憲章とする本学が、高い研究レベルを維持していることは、一昨年に本学関係者3名がノーベル賞を受賞したことからもおわかりいただけることと思います。この様な本学の伝統を生かしつつ、今後さらに、バランスのある研究の発展を図り、幅広く中堅、若手研究者の人材育成を進めていく必要があります。そのためには、先端的な分野の充実だけでなく、文化の継承を担う分野についても支援していく必要があります。同時に、社会の要請に応えうる研究の展開を図ると共に、世界の研究をリードできる研究環境の整備を進めなくてはなりません。また、教育研究支援体制を強化する為に、事務業務の効率化等を図り、職員の労働環境整備を進めることも大切です。更に、年々厳しくなっている基盤的な経費の確保に努めるとともに、資金獲得の方策を充実させなくてはなりません。

人材しか資源のない日本において、人材育成は、知の拠点たる大学の担うべき最も重要な使命です。私は、国際的視野を持ち、精神的・社会的に自立し、なおかつ複眼的視点を持った人材を育てていくべきだと考えています。その為には、学生教育の国際化を図りつつ、生きた語学教育を強化していく必要があります。また、真理の探究という純学問を基にした教育を重視しつつ、研究科間で連携した大学院教育を進めていきたいと思います。私は、これらの課題を実現することにより、自由闊達な学風を持つ本学の特色ある教育が展開できると確信しています。

価値観が多様化し、混迷する時代の中で、日本の基幹・総合研究大学である名古屋大学に課せられた使命は大きいと、私は考えます。私は、未来を切り拓く勇気ある知識人を育て、世界屈指の知的成果を産み出す大学として、名古屋大学が更に発展・充実していくよう、改革に尽力する所存ですので、みなさまのご支援とご協力をお願い申し上げます。