研究/産学官連携

公正研究

名古屋大学における公正研究遂行のための基本方針

名古屋大学は、学術憲章に掲げるとおり、世界屈指の知的成果を生み出すとともに、勇気ある知識人の育成を、研究教育の基本目標としている。そのため、構成員の自律性と自発性に基づく研究活動を最大限尊重した大学運営を行っている。自由闊達な研究環境は、名古屋大学の大いに誇りとするところではあるが、自由であるがゆえに、個々の研究者としても、大学全体としても、我々は自らを厳しく律し、強い倫理観を持って研究活動を遂行していかなければならない
近年、研究者は以前にも増して激しい競争の中に置かれており、データの捏造・改ざんなどの研究上の不正行為が国内外の研究機関で生じ、社会問題化するに至っている。また、不正行為とまでいえなくとも、知的誠実さを妥協させて目先の業績を優先させる誘惑が常に存在している。しかし、そうした不正行為や知的不誠実さは、研究者や研究機関への社会の信頼を裏切り、学術研究の発展を著しく阻害する。
名古屋大学は、こうした状況に鑑み、他の模範となるような公正な研究が遂行されるために最大限努力する。以下は、そのための基本方針である。

  1. 本学構成員は、自己が行う学術研究が社会からの信頼と付託の上に成り立っていることを自覚し、常に誠実に公正な研究を遂行しなければならない。また、本学構成員は、自己のみならず周辺の研究者が公正な研究を安心して遂行できる環境を確立・維持しなければならない。
  2. 研究における公正さとは、単に不正行為をしないというだけでなく、研究の申請、実施、報告、審査のすべてにおいて、最大限の知的誠実さを堅持し、注意深い責任ある態度で研究を行うことを指す。
  3. 本学構成員は、不正行為があった場合その是正に努めなければならない。本学構成員は、不正行為が行われている、ないしは、行われたという確信がある場合は、それを放置しない倫理的義務がある。
  4. 不正行為の疑いが存在すると考える者は、何人も申立てを行うことができる。申立て窓口は、申立者の人権を保護するため学外の弁護士事務所に置く。申立ては、責任をもった申立者が記名した文書を通じて行う。不正行為の是正を意図した善意の申立者を保護するとともに、調査対象の研究者を公に誹謗・中傷することのみを目的とした悪意の申立てを防ぐため、不正行為の調査にあたっては、最大限の機密性を保持する。不正行為に係わる調査・審議・裁定は「名古屋大学における研究上の不正行為に関する取扱規程」に則り行われる。不正行為の調査、審理及び裁定は、科学的な根拠に基づいてなされる。
  5. 名古屋大学は、研究者倫理教育を積極的に行うことによって、不正行為の防止にくわえ、研究倫理に関する以下のような事項の徹底を図る。
    (1) 人間を対象とする研究においては、ヘルシンキ宣言等の倫理指針に基づき、調査対象者の意志と権利の尊重を科学的及び社会的利益よりも優先すること。動物を対象とする場合は、動物実験指針等に従い、動物の福祉を尊重して研究を遂行すること。
    (2) 研究遂行にあたっては、環境への負荷を最小限にすること。
    (3) 自らの研究が社会に及ぼす影響について配慮し、必要とあれば社会に対する説明を行うこと。
    (4) 指導者や審査者としての立場を不当に利用しないこと。
    (5) 共同研究においては共同研究者を尊重するとともに、研究成果の公表に際しては適切な著者名の記載を行うこと。
    (6) 研究資金の使用を適切に行うこと。
    (7) その他、関連の法令等を遵守し研究を遂行すること。
  6. 名古屋大学は、以上を担保する組織として、公正研究委員会を設置する。設置の詳細については、「名古屋大学公正研究委員会に関する規程」に定める