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医歯薬学

2023.04.27

世界初 物質中のアルファ線飛跡のリアルタイム画像化に成功 ~アルファ線内用療法など、様々な研究分野への応用に期待~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の中西 恒平(なかにし こうへい)助教は、早稲田大学理工学術院の山本 誠一(やまもと せいいち)上級研究員(研究科教授)および片岡 淳(かたおか じゅん)教授らのERATO片岡X線ガンマ線イメージングプロジェクト(研究総括:片岡 淳教授)、東北大学未来科学技術共同研究センターの吉野 将生(よしの まさお)准教授、鎌田 圭(かまだ けい)准教授、吉川 彰(よしかわ あきら)教授、矢島 隆雅(やじま りゅうが)大学院生と共同で、高分解能放射線イメージング検出器を開発し、放射線の一種であるアルファ線が物質中を飛んでいる様子(飛跡)を短時間間隔の連続画像(リアルタイム画像)として可視化することに成功しました。アルファ線は、物質中では数十マイクロメートル程度と極めて短い距離しか飛ばないことから、アルファ線の物質中の飛跡をリアルタイムで観察することは、これまで不可能と考えられていました。今回、研究チームが新しいイメージング検出器を開発し、世界で初めてイメージングを可能にしたことで、今後、アルファ線を用いた放射線治療*2など、様々な科学分野への応用が期待されます。
本研究成果は、2023年4月26日(水)午前10時(英国時間・夏時間)にネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学誌『Scientific Reports』で公開されました。

 

【ポイント】

● 世界で初めて物質中のアルファ線の飛跡をリアルタイムで画像化することに成功
● 新しい高分解能放射線イメージング検出器の開発により実現
● アルファ線内用療法*1など、今後様々な研究分野への応用に期待

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

*1 アルファ線内用療法
アルファ線を放出する放射性物質を患者に投与して、がんを治療する方法

*2 放射線治療
がん患者を、放射線を用いて治療する方法。放射線の種類としては、X線やガンマ線、粒子線などが良く使われるが、最近はアルファ線を放出する放射性物質を患者に投与する治療方法の研究が進んでいる。

 

【論文情報】

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Development of an ultrahigh-resolution, real-time alpha-particle imaging system for observing the trajectories of alpha particles in a scintillator
執筆者名:Seiichi Yamamoto1、Masao Yoshino2、Kei Kamada2、Ryuga Yajima 2、Akira Yoshikawa 2、Kohei Nakanishi 3、Jun Kataoka1
1.早稲田大学 理工学術院 
  山本 誠一 (論文責任著者)、片岡 淳
2.東北大学 未来科学技術共同研究センター
  吉野 将生、鎌田 圭、吉川 彰、矢島 隆雅
3.名古屋大学 大学院医学系研究科総合保健学専攻
  中西 恒平
掲載日時(英国時間・夏時間):2023年4月26日(水)午前10時
DOI:10.1038/s41598-023-31748-9
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-023-31748-9

 

【研究代表者】

大学院医学系研究科総合保健学専攻 中西 恒平 助教