国立天文台、愛媛大学、東京大学、名古屋大学などの天文学者の国際チームは、すばる望遠鏡とALMA望遠鏡を用いて、宇宙年齢9億年の時代に相互作用する2つの低光度クエーサーを発見しました。銀河合体が超巨大ブラックホールの成長や爆発的星形成活動と結びついている可能性を示唆するものです。
本研究成果は、2024年8月29日付米国学術雑誌 「The Astrophysical Journal」に掲載されました。
・初期宇宙での超巨大ブラックホール成長や爆発的星形成活動は銀河合体と関連しているとされているが、その段階では暗いため発見が難しい。
・すばる望遠鏡とALMA望遠鏡注1)による観測を組み合わせ、宇宙年齢9億歳の時代に相互作用する2つの暗い、しかし大量のガスを持つクエーサーが発見された。
・これらの天体は将来合体し、ガスからの燃料補給を受け高光度クエーサーに成長する可能性が示唆された。
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注1)アルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計、Atacama Large Millimeter/submillimeter Array: ALMA):
欧州南天天文台(ESO)、米国国立科学財団(NSF)、日本の自然科学研究機構(NINS)がチリ共和国と協力して運用する国際的な天文観測施設です。アルマ望遠鏡の建設・運用費は、ESOと、NSFおよびその協力機関であるカナダ国家研究会議(NRC)および台湾国家科学及技術委員会(NSTC)、NINSおよびその協力機関である台湾中央研究院(AS)と韓国天文宇宙科学研究院(KASI)によって分担されます。 アルマ望遠鏡の建設と運用は、ESOがその構成国を代表して、米国北東部大学連合(AUI)が管理する米国国立電波天文台が北米を代表して、日本の国立天文台が東アジアを代表して実施します。合同アルマ観測所(JAO)は、アルマ望遠鏡の建設、試験観測、運用の統一的な執行および管理を行なうことを目的とします。
雑誌名:The Astrophysical Journal
論文タイトル:Merging Gas-rich Galaxies that Harbor Low-luminosity Twin Quasars at z = 6.05: A Promising Progenitor of the Most Luminous Quasars
DOI: 10.3847/1538-4357/ad57c6
高等研究院/大学院理学研究科 梅畑 豪紀 特任助教
https://www.a.phys.nagoya-u.ac.jp/jp/