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医歯薬学

2026.07.01

脳のやる気エンジン:オレキシンの働きに迫る

【ポイント】

・オレキシン神経の働きを強めると、やる気が高まることが分かった。
・やる気を出して行動しているとき、オレキシン神経の活動は状況に応じて大きく変化し、ごほうびへの期待、実際の結果、そして必要な努力量に合わせて変わることが明らかになった。
・オレキシンの働きを弱めると、やる気が下がることが分かった。

 

国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学医学部附属病院薬剤部・大学院医学系研究科医療薬学の溝口博之 准教授、山田清文 名誉教授 (現 藤田医科大学 客員教授)らの研究グループは、ラットを使って、「ご褒美を手に入れるためにがんばる気持ち(やる気)」や「努力を続ける力」を支える脳のしくみを調べました。その結果、オレキシン神経が、報酬(ご褒美)を得るために行動を続ける力を強める重要な役割を持つことが分かりました。
オレキシン神経は脳の視床下部(*1)にあり、目を覚ます・眠る、食欲、エネルギーの使い方、やる気など、私たちの生活に欠かせない多くの働きを調整しています。しかし、やる気を出して行動するときに、オレキシン神経がどのように働いているのかは、これまでよく分かっていませんでした。
本研究で、オレキシン神経が「ご褒美が手に入りそうだ」という期待と、「実際に行動する」というやる気をつなぐ役割を果たしていることが明らかになりました。オレキシン神経は「期待」と「行動」を結びつけ、行動を後押しする脳の重要な仕組みだと考えられます。
本研究成果は、2026年6月29日午後3時(米国東部時間)に、雑誌『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)』にオンライン掲載されました。

 

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【用語説明】

*1 視床下部
様々の神経核で構成され、覚醒・睡眠、摂食・摂水など本能行動を司る脳領域。オレキシン神経の起始核がある領域。

 

【論文情報】

雑誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
論文タイトル:Reward prediction is encoded by orexin neuron activity during motivated behavior
著者:Yutao Dong, Sheikh Mizanur Rahaman, Wenjun Zhu, Ayumu Inutsuka, Daisuke Ono, Rinako Tanaka, Tetsuo Matsuzaki, Eiji Shibata, Madoka Isobe, Shuntaro Izawa, Akihiro Yamanaka, Kiyofumi Yamada, Hiroyuki Mizoguchi

DOI: 10.1073/pnas.2520677123

URL: https://doi.org/10.1073/pnas.2520677123

 

【研究代表者】

大学院医学系研究科 溝口 博之 准教授
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/pharmacy/labo/