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環境学

2026.09.16

高齢コナラを伐採し萌芽した根の土壌補強強度は8年後まで低下する ~土壌補強強度の回復には萌芽成長を促進させる管理が有効~

【ポイント】

兵庫県立農林水産技術総合センター(森林林業技術センター)、名古屋大学大学院環境学研究科の平野 恭弘 教授、同大学院生命農学研究科の谷川 東子 准教授と兵庫県立大学、福知山公立大学、京都大学との共同研究グループは、里山で管理放置され高齢化したコナラについて、伐採後に萌芽注1再生した根株の根の土壌補強強度注2が8年後まで低下することを野外実測により世界で初めて明らかにしました。また、根の土壌補強強度は、伐採5年後までは伐採前の根株の大きさと関連し、8年後では再生した萌芽枝の成長と関連していることも明らかにしました。今後は、これらの科学的知見を活用して、管理放置された里山コナラ林の適切な管理手法や、表層崩壊リスクを抑えた森林の整備検討に活用されることが期待されます。
研究成果は2026年8月5日にElsevier社の国際学術誌Forest Ecology and Management注3でオンライン公開されました。

 

・伐採後に萌芽再生したコナラの根の分布や引き抜き抵抗力の調査を行い、8年後では根の数が大幅に減少することで、根の土壌補強強度が低い値で横ばいに推移することを明らかにしました。
・伐採から8年後の根の土壌補強強度は、5年後まで関係の認められた伐採前の樹木の太さではなく、萌芽枝の太さと相関関係にあり、萌芽枝の成長に伴って新たな根の発達が進み、土壌補強強度の回復に寄与している可能性が高いことがわかりました。すなわち、伐採後の土壌補強強度の回復には、萌芽枝の成長を促進させることが重要であることが示されました。

  

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1 萌芽:樹木伐採後、残された根株から新しい芽が出ること
注2 根の土壌補強強度:表層崩壊防止力のうち、土壌中に根が生育することにより土壌のせん断を抑制し、土壌崩壊を防止する強さのこと。根の分布と引き抜き抵抗力の情報から土壌断面あたりの根の土壌補強強度を算出できる。
注3 Forest Ecology and Management:森林を生態学的観点から管理する研究を対象とし、森林の構造・機能・保全・利用に関する原著論文や総説を掲載する学術的な国際誌

  

【論文情報】

論文タイトル

Root reinforcement remains low at 8 years after sprouting regeneration of 60-year-old Quercus serrata(60年生コナラを伐採すると萌芽再生しても8年後まで根の土壌補強強度は低く推移する)
著者(所属)
藤堂千景(兵庫県立農林水産技術総合センター)、山瀬敬太郎(兵庫県立大学)、谷川東子(名古屋大学)、池野英利(福知山公立大学)、大橋瑞江(兵庫県立大学)、檀浦正子(京都大学)、平野恭弘(名古屋大学)
掲載誌
Forest Ecology and Management
DOI
https://doi.org/10.1016/j.foreco.2026.124131

 

【研究代表者】

大学院環境学研究科 平野 恭弘 教授
https://www.eps.nagoya-u.ac.jp/~geosys/t_hirano.html