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工学

2026.10.15

構造柔軟性MOFを用いたCO2分離プロセスを世界で初めて実証 ― 次世代の省エネルギーCO2回収技術の実用化に向けて ―

【ポイント】

・柔軟性MOFを用いたVPSAによるCO2分離・回収を世界で初めて実験的に実証
・CO2濃度10%の模擬排ガスから、単純な吸脱着により95%以上の高純度CO2を回収
・破過曲線を利用した運転条件の設計指針を提案し、100サイクル超の安定運転を実証

 

群馬大学大学院理工学府の藤木淳平 准教授は、名古屋大学大学院工学研究科の川尻喜章 教授らの研究グループおよび日本製鉄株式会社との共同研究により、CO2を吸着すると構造が変化する「柔軟な金属有機構造体(柔軟性MOF)」を用いた真空圧力スイング吸着(VPSA)により、CO2を連続的に分離・回収する試験に世界で初めて成功しました。MOFをCO2の分離・回収に利用する研究はこれまでにも数多く報告されていますが、CO2を吸着すると細孔構造が変化するという従来の吸着材にはない特性を持つ柔軟性MOFを実際の装置に組み込み、吸着と再生を繰り返す連続運転によってCO2分離性能を実験的に実証した例はこれまでありませんでした。本研究では、これまでシミュレーションによって有効性が予測されていた柔軟性MOFを用いたVPSAプロセスを実際に構築し、そのCO2分離性能を実験的に確認しました。その結果、火力発電所などの燃焼排ガスを模擬したCO2濃度10%の混合ガスから、単純な4工程のVPSAプロセスによって95%以上の高純度CO2を回収できることを示しました。さらに、柔軟性MOF特有の吸着挙動を利用した運転条件の設計指針を提案するとともに、100サイクルを超える繰り返し運転でも安定した性能を確認しました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

・Metal-Organic Framework (MOF): 金属イオンと有機分子が規則的につながることで形成される多孔性材料。内部に多数の微細な孔(細孔)を持ち、ガスの吸着・分離などへの応用が期待されています。
・柔軟性MOF:ガスの吸着や圧力などの外部環境の変化に応じて、結晶構造が柔軟に変化するMOF。本研究で用いたELM-11は、CO2圧力が一定の値に達すると構造が変化して細孔が開き、CO2を吸着する特徴を持ちます。
・真空圧力スイング吸着(VPSA):圧力の変化によるガス吸着量の違いを利用して混合ガスを分離する方法。高圧で目的成分を吸着させた後、真空まで圧力を低下させて脱着・回収し、吸着材を再生します。この操作を繰り返すことで連続的にガスを分離します。

 

【論文情報】

論文名:Lab-scale CO2 capture tests for a low-temperature vacuum pressure swing adsorption process using flexible metal–organic frameworks
著者:Junpei Fujiki, Naoki Hirano, František Mikšík, Hiroshi Kajiro, Tomoyuki Yajima, Yoshiaki Kawajiri
掲載誌:Energy & Fuels
DOI:doi.org/10.1021/acs.energyfuels.6c02538

URL:https://doi.org/10.1021/acs.energyfuels.6c02538

 

【研究代表者】

大学院工学研究科 川尻 喜章 教授
https://www.material.nagoya-u.ac.jp/process_info_eng/

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