ごあいさつ

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 名古屋大学は、西洋の近代教育研究機関を目指して明治維新直後の1871(明治4)年に開設された仮病院・仮医学校を創基とし、今年で149年となります。また、1939(昭和14)年に、総合大学として名古屋帝国大学が創立されてから、昨年2019年で創立80周年を迎えました。名古屋大学では、大学の憲法ともいうべき学術憲章(2000(平成12)年制定)において、「自由闊達」な学風の下、人間と社会と自然に関する研究と教育を通じて、人類の幸福に貢献する「勇気ある知識人」の育成を使命として掲げております。21世紀に入り、6名のノーベル賞受賞者を輩出し、世界に誇る研究成果と幾多の優秀な人材育成により、中部地域の基幹的総合大学として人類社会の発展に貢献してきました。本学ではこれまでの教育研究などの成果を継続し、さらに発展させるために"NU MIRAI 2020"を公表し、教職員一丸となってその実現に努力しています。世界と日本がかつてない規模とスピードで激変していく中、名古屋大学には多様な人々が集い、人類社会が持続的に発展できる明るい未来の創造のために、叡智を結集して挑んでいます。

 名古屋大学では、新しい時代に一層大きく飛躍するために、今年4月に岐阜大学と法人統合を行い、新たに国立大学法人東海国立大学機構を設立しました。国立大学同士の法人統合はわが国初の試みであり、全国から注目されています。目標とするところは、統合により大きくなった東海機構がアカデミアの中心となって、東海地域という世界有数の産業集積地を、希望にあふれた次世代型の社会にかえて行くために、原動力になることです。そのために教育や研究のレベルを今以上に高めてゆく必要があります。

 今後、「世界屈指の研究大学」、「国内外で活躍する次世代を担うリーダーとなりうる人材育成」を目指し、名古屋大学をこれまでとは違った次元に高めていくために一層努力し、社会のために貢献してまいりたいと考えております。

 さて、名古屋大学ホームカミングデイは、卒業生・教職員OBの方々との緊密な連携強化、保護者の皆様との相互理解、並びに本学の優れた教育・研究の成果を地域住民の皆様に広く発信することを目的に、2005(平成17)年度から毎年開催しており、今回で16回目を迎えることができました。これもひとえに、本学の長い歴史を支えてくださった卒業生・修了生、教職員OB、そして地域の方々をはじめとする多くの皆様のご支援の賜物と心から厚くお礼申し上げます。

 本来ホームカミングデイは、同窓生やふだんお世話になっている地域の皆様を名古屋大学の美しいキャンパスにお招きをして、「名古屋大学の今」を知っていただくとともに、同窓生で旧交を温めながら、在校生や教職員とも交流をして頂こうという企画です。しかしながら、今年のホームカミングデイは、新型コロナウイルス感染症の影響で、すべてオンラインで行うことにいたしました。年に一度、母校のキャンパスに帰ってくることを楽しみにしておられる方も大勢いらっしゃると思いますが、例年以上に充実したものにしたいと、関係者一同で張り切って取り組みました。

 昨年に続きメインテーマを『社会の中の大学』とし、より一層社会へ貢献していくため、社会の中で大学がどのような役割を果たしていけるのかについて皆様と共に考えていきたいと思います。

 主な行事としましては、基調講演として環境学研究科企画による「SDGsと大学」を生配信でお送りします。SDGsの推進において大学の果たす役割を考えることを主題とし、高村ゆかり教授(東京大学未来ビジョン研究センター)による基調講演と企業・市民団体を交えたパネルディスカッションを行います。さらに、こちらも生配信でお届けする「卒業生に届けたい 名古屋大学の今」にて、名古屋大学で最先端研究を行う研究者から4名をゲストに迎えウェビナー形式でお届けするほか、出身学部の今を知っていただける学部・研究科紹介等、学生の課外活動紹介、海外同窓会便り、ホームカミングデイでお馴染みのあかりんご隊によるオンライン実験動画等、皆様に楽しんでいただける多彩なコンテンツをお届けいたします。また、各学部・大学院でも、同窓生・保護者等の方々を対象とした様々な企画をご用意しております。

 オンラインでの配信となったことで、なかなかキャンパスまでは来られない卒業生・保護者の皆様にも、現在の名古屋大学の姿、そして未来に挑んでいる名古屋大学の姿をぜひご覧いただきたいと思います。ひとりでも多くの皆さまに、未来に向けて発展している名古屋大学の魅力を発見していただければ幸いです。

 今後とも温かいご支援とご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和2年9月
名 古 屋 大 学 総 長

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