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市民公開講座「脳の機能の不思議」

時間13:00~16:30
場所野依記念学術交流館2階MAP

プログラム詳細

  • 13:00~13:05 開会の辞
    村田 善晴(環境医学研究所長)
  • 13:05~13:50 「脳の中の時間」
    講師:北澤 茂(順天堂大学医学部教授)
    ニュートン力学では、過去から未来に向かって一様に流れる絶対的な時間を考えます。脳の中の時間も一様に流れているのでしょうか。物理学に登場する理想的な観測者は、出来事の発生の時刻を正確に読み取ります。私達は理想的な観測者なのでしょうか。これまでに報告された事例によれば、我々は理想的な観測者からは程遠い存在です。本講演では腕の交差や目の動きに伴う時間順序判断の逆転現象などを手掛かりに、脳の中の時間の流れについて考察します。
  • 13:50~14:15 「動物の行動から脳の働きを探る」
    講師:溝口 博之(環境医学研究所助教)
    高次脳機能(記憶・認知・統合)は、ストレスなどの環境要因や生まれ持った遺伝要因、さらには老化などの影響によって障害を受け、時には精神疾患や神経変性疾患へと繋がります。近年、臨床研究と動物の行動学的研究の双方のアプローチにより生体内の特定分子がどのような高次機能を担っているか分かってきました。なかでも、病気を反映したモデル動物を用いた研究は病因解明や治療薬の開発の中心を担っています。本講演では、動物の行動解析からヒトへの応用について紹介し、高次脳機能に迫りたいと思います。
  • 14:15~14:25 休憩
  • 14:25~15:10 「脳からみたこころ」
    講師:須原 哲也(放射線総合医学研究所グループリーダー)
    人間の脳には多数の神経細胞が様々な神経ネットワークを作っており複雑な精神活動を支えています。このときの情報の伝達は、シナプスという連結部分で神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)を通じて行なわれています。われわれ人間が物を見たり聞いたり、また喜怒哀楽を感じたりする際には、様々な神経細胞が連携を取りながら活動しており、その様子はいろいろなイメージング装置で測定可能になってきています。本講演では人間の脳がいろいろな状態でどう活動するか、またその活動にはどのような分子が関わっているのかを紹介します。
  • 15:10~15:35 「脳の中の良い細胞と悪い細胞」
    講師:鈴木 弘美(環境医学研究所助教)
    脳の中には病気を悪くする悪玉細胞とそれを防ごうとする善玉細胞が有ることがわかってきました。脳内で異常が起こると両方の細胞が活性化されて病変部に集まってきますが、どちらが主導権を持って活動しているかでその後の病状が決まると考えられています。私たちはその活動を外部から観察する手法を開発しました。これを応用すると病気の状態や薬の治療効果が判定できるようになるので、実用化に向けて開発を進めています。
  • 15:35~16:00 「脳の機能と病気」
    講師:早川 基治(藤田保健衛生大学講師)
    は頭蓋骨によって囲まれているため、外部からその状態をみることは困難でした。1972年にイギリスのゴッドフリー・ハウンズフィールド(後にノーベル医学生理学賞を受賞)等によって開発されたCTによって頭蓋内の様子を観察することが可能となりました。その後、MRIも登場し、始めは主に脳の解剖的な構造を正確に描出することに力が注がれていました。近年では脳の神経細胞の活動、走行や血流など、その機能の描出に力が注がれています。本日は脳の機能検査を実際の病気にどのように活用しているか紹介していきたいと思います。
  • 16:00~16:30 パネルディスカッション
北澤  茂(順天堂大学医学部教授)
北澤 茂
(順天堂大学医学部教授)
溝口 博之(環境医学研究所助教)
溝口 博之
(環境医学研究所助教)
須原 哲也(放射線総合医学研究所グループリーダー)
須原 哲也
(放射線総合医学研究所グループリーダー)
鈴木 弘美(環境医学研究所助教)
鈴木 弘美
(環境医学研究所助教)
早川 基治(藤田保健衛生大学講師)
早川 基治
(藤田保健衛生大学講師)


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