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社会科学

2021.07.16

赤ちゃんが他者の動きから学習するメカニズムの一端を解明

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院情報学研究科(研究当時:自治医科大学)の平井 真洋 准教授、大阪大学大学院人間科学研究科の鹿子木 康弘 准教授、専修大学人間科学部の池田 彩夏 講師らの研究グループは、生後4ヶ月・10ヶ月の乳児192名を対象とした研究を行い、乳児に玩具を差し出す非効率な動作が、乳児の注意を喚起し、学習を促進する可能性を新たに発見しました。

本研究では、乳児に向けて玩具を差し出し、①その手の動きが効率/非効率的な動きかどうか、②乳児に向けられた動作かどうかの2つの要因を操作しました。

4ヶ月児を対象とした4つの実験の結果、乳児に玩具を差し出す時、「自分に向けられた」「非効率な(無駄な動きを伴う)動作」が、乳児の注意を引きつけることが示され、10ヶ月児では、その玩具の記憶を促進する効果があることが示されました。これらの一連の研究の成果は、乳児が他者の動きからどのように学ぶのかというヒトの学習メカニズムの解明につながることが期待されます。

本研究成果は、2021年7月14日付国際雑誌「Developmental Science」にオンライン掲載されました。

本研究は、日本学術振興会若手研究A「他者の動きに埋め込まれた社会的情報の処理機構とその発達」、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)「他者の動きに埋め込まれた社会的情報の処理機構とその発達」、基盤研究B「他者の動き情報に基づく乳児の学習メカニズムの解明とモデル化」の支援のもとで行われたものです。

 

【ポイント】

・乳児がどのように他者(養育者やまわりのひと)の「動き」から学習するかについては、これまでほとんど解明されていなかった。

・本研究では、4ヶ月児・10ヶ月児を対象とした8つの研究により、玩具をもった手の動作の「非効率性」(無駄な動きを伴う動作)と「指向性」(乳児に向けられた動き)が重要であることを見出した。

・これらの成果は乳児の学習原理を解明するとともに、乳児を対象とした教育指針の提案につながることが期待される。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

雑誌名:Developmental Science

論文タイトル:Observing Inefficient Action Can Induce Infant Preference and

 Learning

著者:Masahiro Hirai(平井 真洋*), Yasuhiro Kanakogi(鹿子木 康弘),

 Ayaka Ikeda(池田 彩夏)  *名古屋大学       

DOI: 10.1111/desc.13152                                  

URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/desc.13152

 

【研究代表者】

https://www.hirailab.cog.i.nagoya-u.ac.jp/index.html