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数物系科学

2021.09.14

毎日更新する新型コロナウイルス感染症の感染予測 -天気予報のデータ同化手法を応用-

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院多元数理科学研究科のセルジュ・リシャール特任教授と理化学研究所(理研)計算科学研究センターデータ同化研究チームの三好建正チームリーダー、キウェン・ソン大学院生リサーチ・アソシエイトらの共同研究グループ※は、毎日得られる最新のデータを生かした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予測を開始しました。
本研究は、COVID-19感染拡大の兆候を早期に捉えることで、感染拡大の防止に役立て、予測される感染拡大に事前に備えるための対応計画の策定などに貢献すると期待できます。
共同研究グループは、コンピュータを使った天気予報の要となるデータ同化[1]の方法をCOVID-19感染予測に応用しました。予測に重要となる、1人の感染者が何人に感染させたかを表す「実効再生産数」は直接知ることができませんが、データ同化によって、これまでのその推移を推定しました。その結果、過去3回の緊急事態宣言等による感染抑制効果を確認しました。また、これらに対応する予測シナリオ(1 回目:A1、2 回目:A2、3 回目:A3)、および感染抑制がなされない場合の予測シナリオ(A4)について、それぞれ今後の感染の推移を予測します。
全国と東京都の最新のデータに基づくこれまでの推定および将来予測のデータは、9月14日から理研データ同化研究チームのCOVID-19感染予測Webページ(http://www.data-assimilation.riken.jp/covid-19/realtime/)で公開します。随時システムの改良を行い、予測対象領域を拡大していきます。

 

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

[1] データ同化
シミュレーションと現実世界とを結び付ける統計数理や力学系理論に基づいた学際的科学、またはその技術一般の総称。

 

【研究代表者】

https://www.math.nagoya-u.ac.jp/~richard/