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数物系科学

2021.11.10

カムチャッカで観測された低緯度オーロラ(2021年11月4日)

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)の塩川 和夫教授は、2021年11月4日16時半から真夜中(日本時間)にかけて、カムチャッカのパラツンカにあるロシア科学アカデミー極東支部・宇宙物理学及び電波伝搬研究所(IKIR、FEB RAS)に、国際共同研究で設置しているISEEの全天カメラによって、赤い低緯度オーロラを観測したとWebで公開しました。

https://stdb2.isee.nagoya-u.ac.jp/member/shiokawa/aurora_211104.html
 
このオーロラは、4日の朝4時過ぎ(日本時間)から始まった磁気嵐の主相から回復相に発生し、最大の明るさは、約1kR(キロレイリー:明るさの単位、観測波長は酸素原子の発光輝線630nm)でした。通常、人間の目に見える明るさは、数キロレイリー以上なので、カムチャッカで注意深く北の空を見ていた人は見えたかもしれません。このオーロラは、4日に発生した大きな磁気嵐に伴って出現しました。この磁気嵐では、北海道でもオーロラが見えることが期待されましたが、今回のカムチャッカの全天カメラの画像を見ると、オーロラは北海道までは到達しなかったものの、北海道のすぐ北までやって来ていたことがわかります。
磁気嵐では、地球のまわりに太陽からの高エネルギー粒子がやってくることで、人工衛星の故障や宇宙飛行士の被曝を起こしたり、衛星と地上の間の通信の障害になったりすることがわかっています。よって、低緯度オーロラの出現は、このような高エネルギー粒子がより地球の近くまでやってきていることを示しています。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【研究代表者】

https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/dimr/