TOP   >   総合理工   >   記事詳細

総合理工

2022.02.14

イオンを流すとナノポアが加熱! ウイルスの検出と無害化を同時に行えるナノポアセンサ開発へ

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学未来社会創造機構の有馬 彰秀 特任講師・馬場 嘉信 教授、大阪大学産業科学研究所の筒井 真楠 准教授・川合 知二 招へい教授、産業技術総合研究所の横田 研究員による研究グループは、イオンの流れによってナノポアが局所的に加熱される新たな現象の発見に成功しました。
これまでのナノポアセンサでは、その動作時においてナノポアの温度は変わらないものとみなされてきました。しかし、イオンが水分子を掻き分けながらナノポアを高速で移動しているさまを想像すると、古くから知られる電子の流れによる固体のジュール発熱現象と同様に、ナノポアもイオン流によって加熱されている可能性も考えられます。
そこで当研究グループでは、ナノポアにナノサイズの温度計を取り付け、実際に発熱が起きているかを調べました。その結果、ナノポアに加える電力に比例してナノポア近傍の温度が局所的に上昇することを明らかにしました。本成果により、ウイルスの高感度検出と無害化を同時に実行する新しいナノポアセンサの開発が期待されます。
本研究成果は、American Association for the Advancement of Science (AAAS)が発刊する「Science Advances」に、2月12日(土)午前4時間(日本時間)に公開されました。
 

【ポイント】

* ナノポア※1の極近傍にナノサイズの熱電対温度計※2を置き、ナノポアの温度を測定。
* ナノポアにイオンを流すと、その流れの勢いに比例しナノポアが加熱されることを発見。
* ウイルスの検出だけでなく無害化まで同時に行える新規ナノポアセンサの開発に期待。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

  
 
【用語説明】

※1 ナノポア
ナノメートル(10億分の1メートル)スケールの細孔。

 

※2 熱電対温度計
2種類の異なる金属を接続し、両方の接合点に温度差を与えると金属間に電圧(熱起電力)が発生する現象(ゼーベック効果)を利用し、電気的に温度を計測する温度計。

  

【研究代表者】

https://www.chembio.nagoya-u.ac.jp/labhp/bioanal1/
http://nls.mirai.nagoya-u.ac.jp/index.html