国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科の阿部 洋 教授(糖鎖生命コア研究所 統合生命医科学糖鎖研究センター分子生理・動態部門 教授)、阿部 奈保子 特任准教授らの研究グループは、酵素を用いないmRNAの完全化学合成法を世界で初めて開発しました。
本研究では、生物学的手法ではなく化学合成法を用いることで、mRNAを安価に大量に調製することを可能にしました。また、化学合成手法を用いることで、これまで不可能であったmRNAの精密分子デザインが可能になり、安定性や機能の向上が達成されました。本手法を用いて作られたスーパーmRNAはコロナウイルスなどの感染症ワクチン、癌ワクチン、再生医療等への応用が期待されます。
本研究成果は、2022年5月24日付アメリカ化学会雑誌「ACS Chemical Biology」に掲載されました。
本研究は、2021年度から始まったAMED LEAP事業「化学を基盤としたmRNAの分子設計・製造法の革新とワクチンへの展開」の支援のもとで行われたものです。
・酵素を用いないmRNAの完全化学合成を世界で初めて開発した。
・mRNAを安価に大量合成することが可能になった。
・これまで不可能であったmRNAの精密分子設計が可能になった。
・天然を凌駕するスーパーmRNAは、コロナウイルスなどの感染症ワクチン、癌ワクチン、再生医療等への応用が期待される。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
雑誌名: ACS Chemical Biology
論文タイトル:Complete Chemical Synthesis of Minimal Messenger RNA by Efficient Chemical Capping Reaction
著者:Abe, Naoko(阿部 奈保子、特任准教授); Imaeda, Akihiro (今枝 昭裕); Inagaki, Masahito(稲垣 雅仁、特任助教); Li, Zhenmin(研究員); Kawaguchi, Daisuke(川口 大輔); Onda, Kaoru (恩田 馨); Nakashima, Yuko(中嶋 裕子、研究員); Uchida, Satoshi(内田 智士); Hashiya, Fumitaka(橋谷 文貴、助教); Kimura, Yasuaki(木村 康明、講師); Abe, Hiroshi (阿部 洋、教授)
DOI: 10.1021/acschembio.1c00996
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschembio.1c00996