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生物学

2022.05.13

鎌倉和賀江島からゴカイ類の新種発見 ~平均海面付近に群生し、地震による沿岸の隆起の指標生物に~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 自見直人助教は、横浜国立大学の西栄二郎教授と岩手医科大学 阿部博和助教(現:石巻専修大学 准教授)、東海大学 田中克彦准教授らのグループと共に鎌倉和賀江島(相模湾)や三浦半島西部、静岡御前崎の磯からゴカイ類の新種を発見し、日本の古称である”秋津洲”に因んだ学名をつけました。ヤッコカンザシゴカイはこれまで世界共通種とされてきましたが、日本産種は別種であることがわかり、和名はそのままで学名が変更されました。本種は石灰質の硬い管を作り、平均海面付近に帯状に群生します。石灰質の管は遺骸として岩礁上に数千年単位で長く残ることから、過去の平均海面の推定の際に良好な指標となり、実際に地震による土地の隆起や沈降の証拠として利用されています。本研究成果は、国際学術誌「ZooKeys」(2022年5月12日付)に掲載されました。

 

【ポイント】

・鎌倉和賀江島(相模湾の磯)から群生するゴカイ類の新種発見
・潮間帯に生息するヤッコカンザシゴカイは日本で最も個体数が多い種である
・これまで世界共通種とされていたが、日本産のヤッコカンザシは別種であることが判明し、日本に固有の可能性がある
・平均海面付近に石灰質の管を作ることから、地震による土地の隆起の指標になる

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

論文名:Nishi E, Abe H, Tanaka K, Jimi N, Kupriyanova EK (2022) A new species of the Spirobranchus kraussii complex, S. akitsushima (Annelida, Polychaeta, Serpulidae), from the rocky intertidal zone of Japan. ZooKeys 1100: 1?28.
(日本沿岸の磯の潮間帯から採集された環形動物多毛類カンザシゴカイ科の新種)

 

掲載誌:ZooKeys https://doi.org/10.3897/zookeys.1100.79569

 

公表日時:2022年5月12日17:00(日本時間)

 

著者:西 栄二郎・阿部博和・田中克彦・自見直人・Elena Kupriyanova (Australian Museum)

 

研究費助成:独立行政法人環境再生保全機構 環境研究総合推進費
                                    

【研究代表者】

https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/~SugashimaMBL/