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数物系科学

2022.06.01

機械学習を用いてオーロラの発生状況をリアルタイムに検出し通知するシステムを開発

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学の野澤悟徳准教授は、電気通信大学情報理工学研究科博士後期課程2年の南條壮汰氏らの国際共同研究グループと共に、ノルウェー・トロムソ(北緯69.6度、東経19.2度)のEISCATレーダーサイトに設置した全天デジタルカメラ※1https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/~eiscat/obs/d5000/html/sky_image.html)によるオーロラの光学観測を実施し、ディープラーニングモデルを用いることで、オーロラの発生状況をリアルタイムに通知するシステムTromso AI(トロムソ・アイ)を開発しました(図1:https://tromsoe-ai.cei.uec.ac.jp/)。このシステムは、30秒に一度上空を撮影し、画像を日本国内のサーバへ転送後、数秒以内に画像の種別をディープラーニングによって自動判定し、オーロラが出ていればブラウザの通知機能を使ってユーザに知らせます。また、構築したモデルを用いて、2011年9月から撮影されたオーロラの観測画像553万枚を自動分類することで、オーロラの発生率の長期変動を詳細に明らかにしました。これらの成果は、オーロラ観光に最適なシーズンを知ることや市民科学の奨励に役立ちます。今後は観測地点を増やし、より広域にオーロラの発生情報を提供する予定です。


【ポイント】

*ディープラーニングモデルを用いてノルウェー・トロムソにおけるオーロラの発生状況をリアルタイムに通知するウェブアプリを開発した。
*アプリ内で使われているモデルを用いて、10年間かけて撮影された553万枚の観測画像を自動分類し、年、月、時刻ごとのオーロラ発生率を詳細に明らかにした。
*本アプリを用いることにより、観光客や写真家はオーロラの撮影を効率的に行うことができ、研究者は観測開始のトリガとすることで、観測データのストレージや消費電力を減らすことができる。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

(※1)全天デジタルカメラ
180 度の画角を持つ魚眼レンズを取り付けたデジタルカメラ。カメラの設置地点から見渡すことのできる空全体を撮影できるため「全天」カメラと呼ばれる。本研究では Nikon D7200 および SIGMA 4.5mm f/2.8 EX DC HSM Circular Fisheye を用いている。
 

【論文情報】

論文雑誌名: Scientific Reports
タイトル: An Automated Auroral Detection System Using Deep Learning: Real-time Operation in Tromso, Norway
著者: S. Nanjo, S. Nozawa, M. Yamamoto, T. Kawabata, M. G. Johnsen, T. Tsuda, and K. Hosokawa
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-022-11686-8
DOI: 10.1038/s41598-022-11686-8
 

【研究代表者】 

https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/~nozawa/index.html