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複合領域

2022.10.03

気候モデルによる大気微粒子の数濃度・粒径分布の推定精度を大きく向上させることに成功 ~微粒子の雲への影響評価や気候予測の高精度化に期待~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院環境学研究科の松井 仁志 准教授、リウ ミンシュ 研究員は、大気微粒子が生成・成長するプロセスを詳細に扱った気候モデルの数値シミュレーションを行い、太平洋上や大西洋上などの陸から離れた遠隔域において観測された大気微粒子の数濃度や粒径分布、雲凝結核数(雲粒の核として働く大気微粒子の数)の空間分布を再現することに初めて成功しました。そして、多くの気候モデルでは十分に考慮されていない大気微粒子の生成・成長プロセス(大気中で粒径数nm程度の非常に小さな粒子が生成し、その粒子表面での有機物を含む粒子の生成を通して粒径50~100 nm程度まで成長するプロセス)が、遠隔域における雲凝結核数を決める主要なプロセスであることを明らかにしました。大気微粒子が雲凝結核として働いて雲の特性を変化させる効果は、気候変動予測において特に不確実性が大きく、本成果は、気候の将来変化や地球温暖化の予測の高精度化につながる重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は、2022年9月28日付地球物理学分野の国際学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。

 

【ポイント】

・気候モデルによる数値シミュレーションによって、遠隔域(太平洋上や大西洋上)において観測された微粒子の数濃度や粒径分布、雲凝結核数(雲粒の核となる大気微粒子の数)の空間分布を再現することに初めて成功。
・雲凝結核数の推定において、多くの気候モデルでは十分に考慮されていない大気微粒子の生成・成長プロセスを考慮する重要性を解明。
・気候変動や地球温暖化の将来予測を高精度化するための知見となることが期待。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

雑誌名:Geophysical Research Letters
論文タイトル:Secondary Organic Aerosol Formation Regulates Cloud Condensation Nuclei in the Global Remote Troposphere
著者:Mingxu Liu1 and *Hitoshi Matsui1,2
1 名古屋大学大学院環境学研究科
2 名古屋大学未来社会創造機構脱炭素社会創造センター
DOI: 10.1029/2022GL100543
URL: https://doi.org/10.1029/2022GL100543

 

【研究代表者】

大学院環境学研究科 松井 仁志 准教授
https://has.env.nagoya-u.ac.jp/~matsui