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数物系科学

2022.10.19

タンパク質設計問題を解決する数学公式を発見 ~圧倒的に高速な設計により、創薬・新素材・新デバイス開発への応用が期待~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院情報学研究科の高橋 智栄 博士後期課程学生(JST融合フロンティア次世代リサーチャー)、時田 恵一郎 教授、大学院工学研究科の千見寺 浄慈 助教らの研究グループは、シミュレーションや実験をせずにタンパク質設計をするための数学公式を世界で初めて導出することに成功しました。
創薬の分野において、必要な機能や薬効を発揮する新しいタンパク質の設計は、タンパク質の設計図であるアミノ酸配列を少しずつ変えながら、実験や構造探索シミュレーションを実行し、出来上がったタンパク質が必要な機能や薬効を発揮するかをチェックするという、非常に時間のかかる作業が繰り返されてきました。
本研究で導出した数学公式を用いることで、膨大な計算量を必要とする配列探索シミュレーションや構造探索シミュレーションの必要がなくなり、従来手法に比べて計算コストが圧倒的に低いタンパク質設計が可能になることが期待されます。さらに、本手法はタンパク質の詳細な性質に依存しないので、新素材や新デバイスの設計問題などへの応用も期待されます。
本研究成果は、2022年10月12日付イギリス物理学会誌「Journal of Statistical Mechanics: Theory and Experiment」に掲載されました。

 

【ポイント】

・生物学、情報学、物理学の理論を融合させることにより、タンパク質設計問題の解を与える数学公式を発見した。
・この数学公式を用いることにより、タンパク質設計を含む難しい逆問題に必須だった膨大な計算量のシミュレーションの必要がなくなり、圧倒的に高速な設計が可能になった。
・一般的な逆問題、新素材・新デバイスの設計問題への応用も期待される。

 
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【論文情報】

雑誌名:Journal of Statistical Mechanics: Theory and Experiment
論文タイトル:The cavity method to protein design problem
著者: Tomoei Takahashi,George Chikenji and Kei Tokita
DOI: 10.1088/1742-5468/ac9465
URL:https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-5468/ac9465

 

【研究代表者】

大学院情報学研究科 時田 恵一郎 教授
https://www.phys.cs.i.nagoya-u.ac.jp/~ktlab/