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医歯薬学

2022.11.07

新型コロナウイルス流行により、子どもは筋力は維持できてもバランス能力は低下しやすい

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の杉浦 英志 教授、伊藤 忠 客員研究者(愛知県三河青い鳥医療療育センター三次元動作解析室:動作解析専任研究員 兼務)は、名古屋大学医学部附属病院小児科の伊藤 祐史 医員、愛知県三河青い鳥医療療育センター整形外科の則竹 耕治 センター長、小児科の越知 信彦 センター長補佐らとともに、小中学校の児童と生徒を対象に、新型コロナウイルス流行前と流行中に運動器健診で縦断調査をしました。その結果、流行前と比べて流行中は「動作時のバランス能力」注1)が低下しやすく、不規則な生活習慣によって動画視聴時間が増加して睡眠時間が短縮し、体脂肪率が上昇しやすいことが明らかになりました。
新型コロナウイルスの流行に伴う運動不足が、子どもの身体機能や生活習慣に与える影響を、横断的にアプローチした調査報告はほとんどありませんでした。本研究は、長期に渡る新型コロナウイルスの流行による運動不足が、身体機能注2)にどのような影響を与えるのかを調査した研究であり、適切な運動プログラムの提供に繋げていくためのヒントになります。特に「動作時のバランス能力」を向上させることが重要であり、これらの機能を向上させるために、バランス能力を高くすることを意識した運動プログラムを提供していくことが必要です。
本研究成果は、2022年9月13日付国際学術誌の「International Journal of Environmental Research and Public Health」の電子版に掲載されました。

 

ポイント

・新型コロナウイルス流行前と流行中の運動器健診による縦断調査により、子どもは、流行前と比べて流行中は、動作時のバランス能力は低下しやすい。
・また、不規則な生活習慣により、動画視聴時間が増加して睡眠時間が短縮し、体脂肪率が高くなりやすい。
・今後、子どものバランス機能を向上させる運動プログラムを提供していくことが必要である。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

用語説明

注1)動作時のバランス能力:

動きを伴いながら転倒しないようにバランスを保ち続ける能力のことを指す。

 

注2)身体機能:

身体が持つ能力のことを指す。

 

論文情報

雑誌名:International Journal of Environmental Research and Public Health

論文タイトル:Physical Functions among Children before and during the COVID-19 Pandemic: A Prospective Longitudinal Observational Study (Stage 1)

著者:Tadashi Ito 1 2*, Hideshi Sugiura 2, Yuji Ito 3 4, Sho Narahara 4, Koji Noritake 5, Daiki Takahashi 2, Kentaro Natsume 2, Nobuhiko Ochi4

所属:1Three-Dimensional Motion Analysis Laboratory, Aichi Prefectural Mikawa Aoitori Medical and Rehabilitation Center for Developmental Disabilities, Okazaki 444-0002, Japan.

2Department of Integrated Health Sciences, Graduate School of Medicine, Nagoya University, Nagoya 461-8673, Japan.

3Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, Nagoya University, Nagoya 466-8550, Japan.

4Department of Pediatrics, Aichi Prefectural Mikawa Aoitori Medical and Rehabilitation Center for Developmental Disabilities, Okazaki 444-0002, Japan.

5Department of Orthopedic Surgery, Aichi Prefectural Mikawa Aoitori Medical and Rehabilitation Center for Developmental Disabilities, Okazaki 444-0002, Japan.

*筆頭著者・責任著者

DOI: 10.1038/s41598-022-11906-1

URL: https://www.nature.com/articles/s41598-022-11906-1

 

研究代表者

大学院医学系研究科総合保健学専攻 杉浦 英志 教授

https://hsugiuralab.wixsite.com/mysite

※この研究のお問い合わせ先は、愛知県三河青い鳥医療療育センター兼務の伊藤 忠までお願いします。