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生物学

2023.03.22

植物の断片に個体再生能力を与える化合物を発見 ~希少種の保全、農作物のクローン増殖などの活用に期待~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科生命理学領域の中島 優希 氏(研究当時、博士前期課程学生)、名古屋大学理学部生命理学科の小林 由佳 学部学生、遺伝子実験施設の打田 直行 教授らの研究グループは、植物の断片に個体再生能力を与える化合物を発見しました。
本研究成果は、希少種の保全や、種子の採取に時間のかかる園芸品種や農作物のクローン増殖などに活用できることが期待されます。
本研究成果は、2023年3月8日付スイスの科学雑誌「Frontiers in Plant Science」に掲載されました。

 

【ポイント】

・植物の断片から個体の再生ができると、希少種の保全のほか、種子を作らない植物や、種子作りに時間のかかる園芸品種や農作物のクローン増殖などに活用できる。
・以前より、植物断片を植物ホルモン類とともに培養することで、個体再生能力を生み出させる手法が知られていた。
・従来の方法では、植物種ごとに添加する植物ホルモン類の量や配合比率の試行錯誤が必要で、個体再生を達成できない植物種も実際は多い。
・今回、従来法とは異なる仕組みで、植物断片に個体再生能力を与える化合物を発見した。
・本研究成果は、従来法を補完する新たな個体再生手段としての活用が期待される。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

雑誌名:Frontiers in Plant Science
論文タイトル:Identification of a pluripotency-inducing small compound, PLU, that induces callus formation via Heat Shock Protein 90-mediated activation of auxin signaling.
著者:Yuki Nakashima, Yuka Kobayashi, Mizuki Murao, Rika Kato, Hitoshi Endo, Asuka Higo, Rie Iwasaki, Mikiko Kojima, Yumiko Takebayashi, Ayato Sato, Mika Nomoto, Hitoshi Sakakibara, Yasuomi Tada, Kenichiro Itami, Seisuke Kimura, Shinya Hagihara, Keiko U. Torii, and Naoyuki Uchida
DOI: 10.3389/fpls.2023.1099587
URL: https://doi.org/10.3389/fpls.2023.1099587

 

【研究代表者】

遺伝子実験施設(兼担:大学院理学研究科) 打田 直行 教授
https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/laboratory/mc.html