TOP   >   生物学   >   記事詳細

生物学

2023.05.08

植物の分子トランスポーターの同定 ~細胞内で物質を輸送する保存された仕組みの発見~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科の吉田 真理 博士後期課程学生と五島 剛太 教授は、モデル陸上植物であるヒメツリガネゴケを用いた研究により、細胞内で多様な積荷を輸送する分子モーターを発見しました。
本研究により、進化的に保存された細胞内輸送メカニズムの解明が期待されます。
本研究成果は、2023年5月5日付イギリスの科学雑誌「Nature Plants」に掲載されました。

 

【ポイント】

・植物で独自に進化した分子モータータンパク質「ARK」は、細胞内で多様な積荷を輸送するトランスポーター注1)だった。
・「ARK」による輸送が植物細胞の正常な成長に重要だった。
・細胞内輸送の基本原理は動物と植物で共通だった。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)トランスポーター:
物質の輸送を担うタンパク質のこと。細胞膜を介した輸送体または物質を運ぶモータータンパク質(注4)が該当する。今回は後者を指す。

 

注4)キネシン:

微小管上を歩行するモータータンパク質。「ARK」を含むほとんどのキネシンはプラス端へ向かって進む。

 

【論文情報】

雑誌名: Nature Plants
論文タイトル:Armadillo repeat-containing kinesin represents the versatile plus-end-directed transporter in Physcomitrella
著者:Mari W. Yoshida, Maya Hakozaki , Gohta Goshima 
DOI: 10.1038/s41477-023-01397-x
URL: https://www.nature.com/articles/s41477-023-01397-x

 

【研究代表者】

大学院理学研究科 五島 剛太 教授
http://bunshi4.bio.nagoya-u.ac.jp/~tenure2/goshima.html