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工学

2023.05.31

微生物と酵素でSDGsの加速を目指し産学連携拡大 ~大学発ベンチャーを核に、食品、商社、部品メーカーと連携~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院工学研究科の堀 克敏教授は、名古屋大学発ベンチャーの株式会社フレンドマイクローブ(FM社)、ハウス食品グループ本社株式会社、住友商事株式会社、及び豊田合成株式会社と連携し、FM社の主要業務である動植物油分解微生物による食品工場排水処理技術に関し、①外食産業の排水処理や生ごみ処理の適用場所・業種の拡大、②動植物油だけでなく機械油や鉱物油を含むあらゆる油といった適用対象の拡大を通して事業拡大を目指すとともに、③処理だけでなく排水に含まれる油をバイオディーゼルなどのエネルギーに変換する技術、④排水の微生物フローラのデータを収集し、機械学習を利用して処理の自動制御や病原体の発生などのリスク管理に繋げる新技術の開発に注力します。
既に、①と③については基本技術を確立し、名古屋大学より特許を出願済みです。今後は、実用化研究段階に移り、実証試験を重ねながら、早期の市場投入を目指します。④についても、既に微生物フローラの解析の一部に関し、事業を始めています。今後は、上記投資家をはじめとする複数企業や他大学との共同研究を幅広く展開し、基盤技術の確立と社会実装を急ぎます。②については、動植物油と鉱物油・機械油では分解微生物が全く異なるので、開発は容易ではありませんが、動植物油の排水処理の際に構築した独自理論であるバイオコントロールの理論をベースに開発戦略を立てており、5年程度での実用化を目指しています。動植物油脂分解の実績があるので、微生物が開発できれば、社会実装までの期間は短くて済むと考えられます。

 

【ポイント】

・既に市場投入済みの強力な動植物油分解微生物技術の適用範囲を工場排水から、外食産業排水や生ごみ処理に拡大。
・対応可能油種を動植物油から機械油、鉱物油まで拡大。
・分解処理だけでなく、排水からバイオディーゼルなどを得る技術へ。
・下水・排水や微生物のフローラ解析、機械学習から効率化やリスク管理へ。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【研究代表者】

大学院工学研究科 堀 克敏 教授
https://www.chembio.nagoya-u.ac.jp/labhp/life3/index.html

 

【関連情報】

インタビュー記事「大学×大学発ベンチャー×大手企業で、SDGs実現へ」(名古屋大学研究フロントライン)