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人文学

2023.08.08

沖縄県八重山地域にも4000年前に家畜ブタがいた ~本州・九州より古くから家畜。台湾由来の可能性も~

国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学博物館・大学院情報学研究科の新美 倫子 准教授は、沖縄県立埋蔵文化財センターの玉城 綾氏との共同研究で、沖縄県八重山地域の下田原(しもたばる)貝塚(沖縄県竹富町波照間島)から出土したおよそ4000年前のイノシシ類について、下顎骨に見られる家畜化現象注1)(イノシシとブタの形の違い)から、イノシシではなくブタであることを確認しました。
さらに、これらの下顎骨を用いて年齢査定を行った結果、若齢個体が多い特徴を明らかにしました。若齢個体の多い年齢構成は、弥生時代や中近世のブタを飼育していた遺跡で見られる特徴であり、これは飼育が行われた結果と考えられるので、下田原貝塚でもブタが飼育されていたことが分かります。
本州や九州では、約3000年前に始まる弥生時代にブタ飼育が始まりましたが、沖縄本島ではそれよりずっと古い7200年前からブタが飼育されていたことが、すでに明らかになっています(新美他2021 a・b、2022)。沖縄本島とは400キロほど離れた八重山地域でも4000年前のブタ飼育が確認できたことから、沖縄の広い範囲で本州・九州よりも古くから広くブタ飼育が行われていたことが明らかになりました。
本研究成果は、2023年7月27日付沖縄考古学会の学術雑誌「南島考古」42号に掲載されました。

 

【ポイント】

・日本の最西端、沖縄県八重山地域の下田原貝塚(沖縄県竹富町)で出土する4000年前の大量のイノシシの骨が、野生イノシシではなく家畜ブタであることが明らかになった。
・これらのブタは、その年齢構成が弥生時代や中近世のブタを飼育していた遺跡とよく似ていることから、飼育されていたと考えられる。
・沖縄本島に続いて八重山地域でも縄文時代のブタが確認されたので、沖縄では弥生時代にブタ飼育が始まる本州・九州よりも古くから、広くブタ飼育が行われていたことが明らかになった。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)家畜化現象:
野生のイノシシからブタへの家畜化の過程で骨の形が徐々に変化することを利用して、遺跡から出土する野生イノシシとブタを見分けることができる。この過程で骨に起きるさまざまな変化には、下顎骨の前面が凹む・骨そのものが肥大する以外にも、頭蓋骨の額と鼻の境目に段ができる等がある。

 

【論文情報】

雑誌名:南島考古42号
論文タイトル:沖縄県八重山地域におけるブタの出現―下田原貝塚出土資料を中心に―
著者:新美倫子(名古屋大学)・玉城綾(沖縄県立埋蔵文化財センター)
 

【研究代表者】

名古屋大学博物館/大学院情報学研究科 新美 倫子 准教授
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