東京大学大学院工学系研究科の丸山一平教授と名古屋大学宇宙地球環境研究所の南雅代教授の研究チームは、コンクリートなどのセメントを用いた材料が空気中からCO2を固定した場合の固定量の特定と空気から固定したことの証明を、14C(注1)を用いて同時に行う手法を開発しました。カーボンニュートラルに向けて、コンクリート関連分野では、空気中のCO2を無機炭酸塩の形で固定化し、カーボンニュートラルに貢献していくことが求められていますが、天然の炭酸カルシウムと人工の炭酸カルシウムを見分ける方法や、どれだけのCO2を空気から取り込んで固定化したかを定量する手法は今まで存在していませんでした。今後、炭素税や排出権取引を想定するとCO2の固定が重要な評価対象先と見込まれることから、これらの手法によって偽物を排除し、取引が適切に行われるようになると期待されます。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
(注1)14C:
5,730年の半減期で放射壊変する、炭素の放射性同位体。炭素は12、13、14の質量数の異なる3種類の同位体(12C、13C、14C)が存在しますが、14Cは最も多く存在する12Cに比べると、1兆分の1程度しか存在しないため、加速器質量分析計などの特殊な装置を用いて分析します。14Cの減少を利用して考古学や古環境学の分野の年代測定に一般的に用いられるほか、石油や石炭などの化石燃料中の炭素に14Cが含まれないことを利用して、自然・人為起源のさまざまな物質の発生源探索や動態解明の自然起源トレーサーとして用いることが可能です。
雑誌名:Journal of Advanced Concrete Technology
題 名:Verification method of direct air capture by cementitious material using carbon isotopes
著者名:Zhenzhen Wang, Abudushalamu Aili, Masayo Minami, Ippei Maruyama*
DOI:10.3151/jact.21.934
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/21/11/21_934/_article/-char/en
https://www.nendai.nagoya-u.ac.jp/index.html