名古屋大学大学院理学研究科菅島臨海実験所の落合 乾大 博士前期課程学生と五島 剛太 所長を中心とするグループは、同大学遺伝子実験施設、東京工業大学、国立遺伝学研究所との共同研究により、難易度が高いとされる大型藻類(海藻)の高精度ゲノム解読に成功しました。対象にした緑藻ハネモは、一般的な動植物細胞に比べて1000倍にもなる巨大な単細胞生物であることと、傷害に対する再生能力の際立った高さを持っていることから、長年にわたり研究者に注目されてきた生物種です。
本研究により、ハネモのみならず、高精度のゲノム情報の少ない大型藻類における実験生物学の発展が期待されます。
本研究成果は、2024年4月21日付科学雑誌「The Plant Journal」に掲載されました。
・10 cm以上に育つ単細胞生物・ハネモ(海藻)を鳥羽市菅島で採集し、数年にわたる経代培養や雌雄掛け合わせに成功した。
・ハネモの全ゲノムを、海藻では例外的な高精度で解読した。
・他の藻類との比較ゲノム解析注1)により、細胞内輸送や細胞再生に関わる遺伝子に特徴が認められた。
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注1)比較ゲノム解析:
複数のゲノムを比較してその類似点や相違点を明らかにする解析のこと。
雑誌名:The Plant Journal
論文タイトル:Genome sequence and cell biological toolbox of the highly regenerative, coenocytic green feather alga Bryopsis
著者: Ochiai, Kanta; Hanawa, Daiki; Ogawa, Harumi; Tanaka, Hiroyuki; Uesaka, Kazuma; Edzuka, Tomoya; Shirae-Kurabayashi, Maki; Toyoda, Atsushi; Itoh, Takehiko; Goshima, Gohta
DOI : 10.1111/tpj.16764
URL : http://doi.org/10.1111/tpj.16764
大学院理学研究科 五島 剛太 教授
http://bunshi4.bio.nagoya-u.ac.jp/~tenure2/goshima.html