生物学
2024.05.09
AIが解き明かす、動物の協力行動の新たな可能性 ~捕食者の協調的な狩りは単純なルールでも成り立つ~
名古屋大学大学院情報学研究科の筒井 和詩 特任助教(現:東京大学大学院総合文化研究科 助教)、武田 一哉 教授、藤井 慶輔 准教授、同大大学院理学研究科の田中 良弥 助教らの研究グループは、人工知能技術を用いて、これまで高度な認知能力が不可欠だと考えられてきた生物の集団における協調的な狩りが単純な仕組みによって出現しうることを実証しました。
本研究の結果は、協調的な狩りがどのような動物群で生じるかを再評価することにつながり、より広い生物種において協調的な狩りが進化する可能性を示唆しています。
今後、自然界で生物が見せる協力行動への理解の深化、さらには協調的な人工知能エージェントの開発などにつながることが期待されます。
本研究成果は、2024年5月7日付国際科学雑誌「eLife」に掲載されました。
・人工知能(AI)技術を活用して、生物の集団における協調的な狩り注1)が必ずしも高度な認知能力を必要としないことを実証
・従来、複雑な社会的行動と考えられていた協調的な狩りが、より広い生物種において観察可能であることを示唆
・将来的に協調的な人工知能エージェントの開発につながることを期待
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
注1)協調的な狩り:
生物の集団での狩り(Cooperative hunting)は、その組織化の程度によっていくつかのレベルに分類される。本研究における「協調的な狩り」は、多くの文献でその最高位に位置付けられているCollaboration(あるいは Collaborative hunting)を指す言葉として用いている。
雑誌名:eLife
論文タイトル:Collaborative hunting in artificial agents with deep reinforcement learning
著者:Kazushi Tsutsui(旧:名古屋大学、現:東京大学), Ryoya Tanaka(名古屋大学), Kazuya Takeda(名古屋大学), Keisuke Fujii(名古屋大学)
DOI: 10.7554/eLife.85694
URL: https://elifesciences.org/articles/85694
大学院情報学研究科(現:東京大学大学院総合文化研究科) 筒井 和詩 特任助教
名古屋大学 武田・藤井研究室:https://takedalab.g.sp.m.is.nagoya-u.ac.jp/
東京大学 工藤研究室:https://www.dexterity-lab.c.u-tokyo.ac.jp/