歴史文献と最高レベルの精度の炭素14分析を組み合わせることで、予測が難しく危険な太陽プロトン現象を効率的に探索する新たなアプローチが構築され、より多くの事象の特性を理解するための基盤が築かれました。
本研究は、名古屋大学宇宙地球環境研究所の堀田 英之教授、国文学研究資料館、山形大学、弘前大学などと共同で行われたもので、研究成果は学術誌『Proceedings of the Japan Academy, Series B』に2026年4月10日に掲載されました。
美しいオーロラとして観測される極端な太陽活動は、私たちが地表にいる限りは無害ですが、地球の磁気圏や大気といった防護の外に出れば、太陽フレアやコロナ質量放出など、太陽の猛威に直接さらされることになります。
こうした太陽の爆発現象は、ときに太陽プロトンイベント(SPE)という現象を引き起こします。これは、高エネルギー粒子が光速の最大90%に達する速度で地球に向かって放出される現象です。1972年には、アポロ16号とアポロ17号の月面探査ミッションの合間に太陽プロトン現象が連続して発生しました。もしこれらがどちらかのミッション中に起きていれば、宇宙飛行士たちは致死レベルの粒子線に無防備にさらされていた可能性があります。人類が再び月を目指す中、こうした突発的な現象の解明は、今まさに早急に進めなければならない課題です。
この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と、国文学研究資料館、山形大学、弘前大学、名古屋大学などの研究者からなる研究チームは、中世の記録を手掛かりに、青森県に埋もれていたアスナロの木を用いて超高精度の炭素14分析を行うという新たなアプローチを提示しました。この複合的な手法を用いることで、太陽活動が極めて活発だった1200年の冬から1201年の春に太陽プロトン現象が発生していたことを特定しました。
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タイトル: Extremely Active Sun from 1190 to 1220 in the Medieval Period: Intercomparison of Historical Records and Tree-ring Carbon-14
掲載誌: Proceedings of the Japan Academy, Ser. B
著者: Hiroko Miyahara, Ryuho Kataoka, Kazuaki Yamamoto, Fuyuki Tokanai, Toru Moriya, Mirei Takeyama, Hirohisa Sakurai, Motonari Ohyama, Kazuho Horiuchi and Hideyuki Hotta
掲載日: 2026年4月10日
DOI: https://doi.org/10.2183/pjab.102.011