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化学

2026.06.01

"溶かさない界面活性剤"で酸化物ナノシートを自在設計 組成制御の指針を確立、次世代ナノ材料開発への応用に期待

【ポイント】

・固相界面活性剤注1)を利用した二次元酸化物合成において、これまで経験的だった「組成制御」の設計原理を体系化。
・酸化セリウム(CeO2)ナノシート注2)に対し、希土類元素(レアアース)(La, Pr, Sm, Gd, Yb, Y, Sc)を精密にドープできることを実証。
・界面活性剤結晶中への元素取り込みはイオン半径に強く支配され、その後のナノシート形成過程では金属錯体の反応性が組成変化を決定することを発見。
・固相界面活性剤法を、単なる経験的合成法から「組成設計可能なナノシート合成プラットフォーム」へ発展。
・エネルギー材料・触媒・イオン伝導材料など、次世代酸化物ナノ材料設計への応用が期待。

 

名古屋大学未来材料・システム研究所(IMaSS)の伊東 健太郎 博士後期課程学生、山本 瑛祐 助教、長田 実 教授らの研究グループは、あえて溶かさない固相界面活性剤を鋳型として利用する独自の二次元材料合成法を発展させ、非層状酸化物ナノシートの組成を精密に制御するための設計指針を確立しました。近年、酸化物ナノシートは電子材料・触媒・エネルギー変換材料として注目を集めています。しかし、従来のナノシート合成法では、組成を自在に制御することが難しく、特に「非層状酸化物」に対する精密ドーピング技術はほとんど確立されていませんでした。本研究では、界面活性剤と金属イオンから形成される「固相結晶」を反応場として利用することで、酸化セリウムナノシートへの希土類元素ドーピングを系統的に調査しました。その結果、前駆体となる固相界面活性剤結晶では、金属イオンの取り込み量が単純な仕込み組成ではなく、イオン半径に基づく選択的取り込みによって決定されることを明らかにしました。さらに、その後のナノシート形成過程では、金属錯体の反応性の違いによって組成が変化することを発見しました。研究グループは、これら二つの効果を制御することで、目的組成を持つ酸化物ナノシートを実現しています。本成果により、固相界面活性剤法は経験的な合成法から、組成を自在に設計可能な合成プラットフォームへと発展しました。
本研究成果は、2026年5月19日付(日本時間)米国科学誌『Advanced Science』に掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)界面活性剤 :
分子内に親水的な官能基と疎水的な官能基を有する両親媒性物質。クラフト点と呼ばれる水和結晶の融点以下の温度で固相の結晶として析出する。
注2)ナノシート:
原子1層、数層からなる物質。代表的な物質として、グラフェン、六方晶BN、遷移金属カルコゲナイド(MoS2、WS2など)がある。

 

【論文情報】

雑誌名:Advanced Science
論文タイトル:Tailored Synthesis of Doped Non-Layered Oxide Nanosheets Using Designed Solid-State Surfactants
著者:Kentaro Ito, Eisuke Yamamoto*(名古屋大学助教), Kohei Hayashi, Daiki Kurimoto, Makoto Kobayashi, and Minoru Osada* (名古屋大学教授)
DOI:10.1002/advs.75720
URL:https://doi.org/10.1002/advs.75720

 

【研究代表者】

未来材料・システム研究所 山本 瑛祐 助教

https://mosada-lab-nagoya.com/