工学
2026.07.31
火炎を用いて高性能CO2メタネーション用触媒のワンステップ合成を実現―大規模CO2メタネーションの社会実装に向けて―
・火炎合成により高性能なメタネーション用ニッケル/酸化セリウム触媒をワンステップにて創出
・高温・高速な燃焼プロセスにより、微細かつ均一な粒子構造を実現
・大規模CO2メタネーションの社会実装に貢献する技術として期待
東京科学大学(Science Tokyo)工学院 機械系の岡田公誠大学院生、長澤剛准教授、名古屋大学 未来社会創造機構(研究当時)の中村真季特任准教授の研究グループは、高輝度光科学研究センターの山田大貴主幹研究員(現 東北大学准教授)、伊奈稔哲研究員と共同で、カーボンニュートラル社会実現のために重要なCO2メタネーション(用語1)反応用の高性能触媒を、火炎合成によりワンステップに製造する技術の開発に成功しました。
CO2を燃料や化学原料として有用なメタンに転換するCO2メタネーションは、燃焼排ガスや大気から回収したCO2の利用技術として注目されています。本技術の大規模な社会実装に向けては、高効率・長寿命かつ低コストな固体触媒の製造技術が求められています。しかし、性能を高めるための従来の合成手法の多くは、複雑かつ高コストなため、大量生産への適用が困難でした。
今回、研究チームは火炎補助式噴霧熱分解法(FASP)に着目しました。これは火炎に原料となる元素を溶かした溶液を投入することで、ワンステップで粒子が合成される簡便な方法です。拡散火炎を用いたFASPにてニッケル/酸化セリウム触媒粒子を合成したところ、広く用いられる合成法である含浸法(用語2)による触媒粒子と比べて微細かつ均一な粒子構造が得られ、CO2メタネーション性能は大幅に向上しました。
また、FASPによる触媒はこれまで報告されている触媒の中でも高いレベルの性能を示しており、本手法が高性能なCO2メタネーション用触媒を簡便かつ大量に製造する有望な手法であることを示しました。
本成果は、7月8日付(現地時間)で「Fuel」誌にオンライン版が掲載されました。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
(1)CO2メタネーション:二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を反応させ、燃料として利用可能なメタン(CH4)を生成する技術。CO2を資源として再利用できるため、カーボンニュートラル実現に向けた有望な技術の1つである。
(2)含浸法:触媒の担体粒子を金属成分を含む溶液に浸し、乾燥・焼成することで触媒を調製する方法。工業的に広く利用されている一方、複数工程を必要とする。
掲載誌:Fuel
論文タイトル:One-step synthesis of Ni/CeO2 catalyst with fine structure for CO2 methanation by flame-assisted spray pyrolysis
著者:Kosei Okada, Tsuyoshi Nagasawa*, Hiroki Yamada, Toshiaki Ina, Maki Nakamura*
*責任著者
DOI:10.1016/j.fuel.2026.140563
URL:https://doi.org/10.1016/j.fuel.2026.140563