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医歯薬学

2026.08.24

環境騒音に含まれる低周波音が腎機能の低下を誘発する可能性をマウスモデルで発見

【ポイント】

・環境騒音に含まれる低周波音が、腎機能を低下させる可能性を、モデルマウスで示しました。
・低周波音は、腎臓で血液をろ過する「糸球体」を障害する可能性を明らかにしました。
・この腎障害に、血管を収縮させる物質「エンドセリン」が関わる可能性を示しました。

 

名古屋大学大学院医学系研究科 環境労働衛生学の香川匠 助教(第1著者)、加藤昌志 教授(責任著者)らの研究グループは、環境騒音に含まれる低周波音(100Hz以下の音)に長期間さらされることで、腎機能が低下する可能性があることを、動物モデルを用いて明らかにしました。
交通機関や空調設備などから日常的に発生している環境騒音が、健康に影響を与えることが懸念されています。これまでのヒトを対象とした疫学研究では、「環境騒音への曝露」と「腎機能低下」との相関関係が報告されていました。しかし、環境音に含まれる「どんな性質(周波数)の音が腎機能低下を引き起こすか?」については、ほとんど不明であり、その仕組みも分かっていませんでした。
本研究では、環境騒音に含まれる低周波音が、血管を収縮させる物質である「エンドセリン」の働きを介して、腎臓で血液をろ過する「糸球体」を傷つけ、腎機能に悪影響を及ぼす可能性を、マウスモデルで示しました。
今回の研究により、環境騒音に含まれる過剰な低周波音が、腎臓の機能に悪影響を及ぼす可能性がマウスを用いた研究で明らかになりました。一方、本研究で用いた音圧は比較的高く、今回の知見を、そのままヒトに当てはめられるわけではありません。
一方、本研究グループは、特定の周波数の低周波音を、適切な音の大きさと時間で利用することで、乗り物酔いの軽減や皮膚血流の改善など、健康に役立つ可能性があることも報告しています。このように、低周波音の生体への作用は、周波数・音の大きさ・曝露時間などによって異なる可能性があることもわかってきました。今後は、音刺激の有用性と安全性の両面から研究を進め、どんな音が健康に悪影響を及ぼし、どのような音が健康の維持・増進に役立つのかを慎重に明らかにしていくことが、ますます重要になってくると考えられます。
本研究成果は、2026年6月18日付で国際学術誌『Environmental Science & Technology』に掲載されました。

 

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【論文情報】

雑誌名:Environmental Science & Technology
論文タイトル:Glomerular Injury Induced by Daily Exposure to the Low-Frequency Component of Environmental Noise via Endothelin Signaling in Mice
著者:Takumi Kagawa, Dijie Chen, Nobutaka Ohgami, Keming Tong, Yanjun Gao, Naruhito Iwasaki, Akihito Harusato, Toyonori Tsuzuki, Takumi Hayashi, Yuuki Shimizu, Toyoaki Murohara, and Masashi Kato

DOI: https://doi.org/10.1021/acs.est.5c12555

 

 

【研究代表者】

大学院医学系研究科 環境労働衛生学 加藤 昌志 教授
https://nu-hygiene.jimdofree.com/