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農学

2026.09.25

玄米で育てた鳥の卵は機能性が高くなる? ウズラの卵黄成分解析で解明、卵の"おいしさ"科学的理解へー

【ポイント】

・産卵ウズラをモデルとして、飼料用トウモロコシを玄米に全量置き換えた飼料を給与し卵黄成分への影響を解析した。
・玄米を給与しても産卵数や卵黄重量などの生産成績は維持された。
・卵黄中のタウリン注1)とα-トコトリエノール注2)量が増加することを初めて明らかにした。
・卵黄中の脂質量は変化しない一方で、脂肪酸組成は大きく変化した。
・玄米給与による卵黄成分変化には、飼料成分の移行と生体内代謝の変化が関与する。

 

名古屋大学大学院生命農学研究科の古川 恭平 助教、村井 篤嗣 教授、名古屋大学全学技術センター 設備・機器共用推進室の髙濵 謙太朗 室長らの研究グループは、玄米を給与したウズラの卵において、機能性成分であるタウリンの増加、α-トコトリエノールの蓄積、および脂肪酸組成の変化が生じることを、多層オミクス解析注3)によって明らかにしました。一方で、玄米給与は産卵数や卵黄重量、タンパク質含量などの基本的な卵質には影響を与えず、飼料原料として十分利用可能であることも確認しました。
日本の飼料自給率は低く、飼料価格も高騰していることから、自立的な畜産体系の確立が重要な課題です。近年、飼料用トウモロコシと栄養価が近い飼料用米の利用が進められていますが、両者は脂質やビタミンE類などの栄養組成が異なります。本研究では、トウモロコシ主体飼料と玄米主体飼料を産卵ウズラに給与し、卵黄成分への影響をメタボローム解析注4)、リピドミクス解析注5)およびビタミンE解析を用いて評価しました。
その結果、玄米給与群では卵黄中のタウリン濃度が増加し、エルゴチオネイン濃度は減少しました。玄米に含まれ、ビタミンE類の一種であるα-トコトリエノールが卵黄に蓄積することも発見しました。さらに、卵黄中の脂質量に変化は認められませんでしたが、リノール酸などの必須脂肪酸が低下し、肝臓で合成される脂肪酸の割合が増加することが分かりました。
本研究は、玄米が単なるトウモロコシ代替飼料ではなく、卵の機能性成分や脂質の質を変化させることを示したものであり、機能性卵注6)の開発や、卵のおいしさを決定する脂質組成の科学的理解に寄与する成果です。
本研究成果は、2026年9月7日(日本時間)付Elsevier雑誌『Food Chemistry』に掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)タウリン:
アミノ酸に類似した含硫化合物。抗酸化作用や脂質代謝調節、生体機能維持に関与することが知られている。
注2)α-トコトリエノール:
ビタミンE類の一種。米ぬかや玄米などに多く含まれる。高い抗酸化能を持つことが知られている。
注3)オミクス解析:
生体内の多種類の分子(遺伝子、タンパク質、代謝物、脂質など)を包括的に解析する研究手法。本研究ではメタボローム解析とリピドミクス解析を組み合わせた「多層オミクス解析」を実施した。
注4)メタボローム解析:
生体内に存在する糖、有機酸、アミノ酸などの低分子代謝物を網羅的に測定し、生体の代謝状態を調べる解析手法。
注5)リピドミクス解析:
脂質(脂肪酸、リン脂質、中性脂肪など)を網羅的に分析する手法。生体内の脂質代謝変化を詳細に評価できる。
注6)機能性卵:
通常の卵と比較して、特定の栄養成分や生理活性成分を多く含む卵。

 

【論文情報】

雑誌名:Food Chemistry
論文タイトル:Impact of brown rice-based diets on egg yolk composition and metabolism in quail
著者:Kyohei Furukawa, Mizuki Yamamoto, Mitsuko Enomoto, Naoya Ogawa, Kentaro Takahama, Fumihiko Horio and Atsushi Murai すべて名古屋大学
DOI: 10.1016/j.foodchem.2026.151081
URL: https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2026.151081

 

【研究代表者】

大学院生命農学研究科 古川 恭平 助教, 主著者:大学院生命農学研究科 村井 篤嗣 教授
https://anutr.agr.nagoya-u.ac.jp/

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