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生物学

2026.10.01

海辺は、まだ知らない昆虫の宝箱!伊豆の磯から新種「ナギサガガンボ」を発見

【ポイント】

・昆虫採集といえば山や川―そんなイメージを覆し、伊豆半島の磯で、波しぶきが届く岩の上を歩く新種を発見。「ナギサガガンボ注1)」と命名した。
・研究のきっかけは、菅島での臨海実習。学生と海辺の生きものを集めて名前を調べたことから始まり、「海にもガガンボがいる」という小さな発見を追いかけた。
・同じ海岸でもイソガガンボ亜属注2)の2種は少し違う高さの場所にすみ、灯りへの集まり方も異なった。海辺のわずかな環境の違いに、まだ知られていない昆虫の多様性が隠れていることを示した。

 

昆虫採集と聞くと、森や草むら、川辺を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが、海の波しぶきが届く岩の上にも、少数ながら昆虫は暮らしています。名古屋大学大学院理学研究科附属臨海実験所の自見 直人 講師と下岡 敏士 博士後期課程学生は、三重県と静岡県の海岸を調べ、伊豆半島・八幡野からイソガガンボ亜属(Idioglossia)の新種を発見し、ナギサガガンボ Dicranomyia (Idioglochina) nagisa と命名しました。
ナギサガガンボの体長は1 cmにも満たず、成虫は、干潮時は潮が引くが波しぶきが届き、満潮時には海の底に沈んでしまう、「潮間帯」という海と陸の境界部で見つかりました。また、既知種ヒトエグサガガンボ(D. monostromia)についても、菅島と伊豆の標本を元に触角の特徴と海岸での暮らし方を調べ直し、海岸性種のみからなるイソガガンボ亜属へ移しました。翅(はね)や触角などを見比べる形の観察とDNA解析を組み合わせ、海辺に隠れていた生物多様性を明らかにしました。
本種を含むイソガガンボ亜属は卵〜幼虫期は海の中で過ごし、成虫は陸上に出て飛翔する非常に変わった昆虫です。イソガガンボがどのように進化してきたのかを今後解析することで、昆虫の海への適応過程を理解できる可能性があります。
本研究成果は、2026年10月1日午前0時(日本時間)付で日本動物分類学会が発行する国際査読付き雑誌「Species Diversity」に掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)ガガンボ:
ハエ目(双翅目)に属する昆虫の一群。細長い体と長い脚をもち、多くの種の幼虫は水辺や湿った環境に生息する。成虫は数週間から数カ月しか生きられず、人を刺すことはない。

 

注2)イソガガンボ亜属:
ヒメガガンボ科ナミヒメガガンボ属に含まれる亜属 Dicranomyia (Idioglochina)。知られている種はすべて海岸に関連し、インド洋・太平洋沿岸を中心に分布する。本研究では新和名として「イソガガンボ亜属」を提唱した。

 

【論文情報】

雑誌名:Species Diversity
論文タイトル:Two littoral species of Dicranomyia (Idioglochina) (Diptera: Limoniidae) from Japan: a new species and transfer of D. monostromia with notes on ecology
著者:Naoto Jimi, Satoshi Shimooka (名古屋大学)
DOI: 10.12782/specdiv.31.271

URL: https://doi.org/10.12782/specdiv.31.271

 

【研究代表者】

大学院理学研究科附属臨海実験所 自見 直人 講師
https://sites.google.com/site/polychaetesnaotojimi/home

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