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生物学

2026.11.06

大型緑藻ハネモのメス化に必要な遺伝子を発見~なぜメスはオスより大きい配偶子を生み出せるのか〜

【ポイント】

・伊勢湾で採集した大型緑藻ハネモのオスとメスのゲノムを比較し、染色体上の性決定領域注1)を特定した。
・ハネモのメスの性決定領域において、メス化に必要な遺伝子BrRWP1を発見した。
・BrRWP1は核や葉緑体の分裂を制御し、雌雄の配偶子の大きさの違いや、オルガネラDNAの母性遺伝注2)を制御する重要な遺伝子であることを明らかにした。

 

名古屋大学大学院理学研究科附属菅島臨海実験所 (三重県鳥羽市) の落合 乾大 博士後期課程学生と五島 剛太 所長は、大型緑藻ハネモの性決定に関わる染色体領域を特定し、さらに、メスだけが持つBrRWP1遺伝子が、オスよりも大きな配偶子をつくる上で重要な役割を果たすことを明らかにしました。
ヒトの精子と卵子のように、多くの生物ではオスとメスがつくる配偶子の大きさが異なります。しかし、この違いを生み出す遺伝的な仕組みは、まだ十分に解明されていません。本研究では、大型緑藻ハネモのオスとメスのゲノムを比較し、性決定に関わる染色体領域を特定しました。さらに、メスだけがもつBrRWP1遺伝子の働きを抑えると、メスの配偶子がオスの配偶子並みに小さくなり、メス配偶子特有の性質である眼点注3)の形成も妨げられることを発見しました。BrRWP1は、核や葉緑体の分裂を制御することで、オスよりも大きな配偶子を生み出すのに重要な役割を果たしていました。また、オルガネラDNAの母性遺伝を制御する遺伝子であることも明らかになりました。
本研究は、多くの生物で見られる雌雄の配偶子の大きさや性質の違いが、どのように生み出されるのかを理解する上で、重要な手がかりとなる成果です。
本研究成果は、2026年11月4日 科学雑誌「Current Biology」に掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)性決定領域:
性別を決める働きをもつ遺伝子が存在する領域。


注2)オルガネラDNAの母性遺伝:
母親由来のミトコンドリアや葉緑体のDNAのみが子孫に受け継がれる現象。


注3)眼点:
光を感じ取るための感覚器官。

 

【論文情報】

雑誌名: Current Biology
論文タイトル:A female-specific RWP-RK transcription factor controls gamete differentiation and underlies anisogamy in the macroalga Bryopsis
著者:Ochiai, Kanta; Goshima, Gohta
DOI:10.1016/j.cub.2026.10.026
URL:https://doi.org/10.1016/j.cub.2026.10.026

 

【研究代表者】

大学院理学研究科 附属臨海実験所 五島 剛太 教授
https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/~goshimalab/

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