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工学

2022.04.06

論理量子ビット間での演算を可能にする極低温環境での量子誤り訂正手法を世界で初めて開発 -大規模量子コンピュータの実用化に向け大きく前進-

国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院工学研究科の田中 雅光 助教および慶應義塾大学理工学部の近藤 正章 教授、上野 洋典 訪問研究員(本務:東京大学大学院情報理工学系研究科特別研究員)、日本電信電話株式会社コンピュータ&データサイエンス研究所の鈴木 泰成 研究員、理化学研究所量子コンピュータ研究センターの田渕 豊 ユニットリーダーは、超伝導量子コンピュータが駆動する極低温環境で、実用的な規模の量子コンピュータを制御するのに必要な水準の消費電力、実装規模、速度、誤り訂正の性能などを満たしつつ、単一の論理量子ビットのみならず、相互作用する複数の論理量子ビットを復号する量子誤り訂正アルゴリズムを世界で初めて開発しました。本研究の成果により超伝導量子コンピュータのスケーラビリティおよび量子ビットのエラー耐性を向上でき、誤り耐性量子コンピュータの開発の進展に寄与することが期待されます。
本研究成果は2022年4月2日から開催されるThe 28th IEEE International Symposium on High-Performance Computer Architecture (HPCA-28)で発表されました。

  
【ポイント】

・単一の論理量子ビットのみならず、相互作用する複数の論理量子ビットを復号する量子誤り訂正アルゴリズムを提案し、誤り耐性を持つ論理演算を可能としました。
・提案したアルゴリズムに基づく復号器を高速・低消費電力で動作する超伝導回路で実装しました。これにより、許容される消費電力の小さい極低温環境で動作し、論理ビット同士の演算を保護する量子誤り訂正手法を実現しました。
・本研究は誤り耐性量子コンピュータの開発の進展に寄与することが期待されます。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

Yosuke Ueno, Masaaki Kondo, Masamitsu Tanaka, Yasunari Suzuki, Yutaka Tabuchi, “QULATS: Quantum Error Correction Methodology toward Lattice Surgery”, The 28th IEEE International Symposium on High-Performance Computer Architecture (HPCA), 2022.
doi:(未定)

 

【研究代表者】

http://www.super.nuee.nagoya-u.ac.jp/