名古屋大学医学部附属病院・麻酔科(藤井祐病院講師)、名古屋大学大学院医学系研究科・麻酔・蘇生医学(西脇公俊教授)、呼吸器外科学(芳川豊史教授)及び東京医科歯科大学・統合研究機構の武部貴則教授らの共同研究グループは、液体酸素パーフルオロカーボンを腸管へ投与する腸換気法が、低酸素状態のブタに対して自己肺機能に依存しない換気効果をもたらすことを証明しました。人間にサイズが近い大動物モデルを用いて腸換気法の有効性が示されたことで、昨今のコロナウイルス感染症を含む様々な原因で生じる呼吸不全に対する画期的な呼吸補助療法として治療応用が期待されます。
本研究は、AMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する研究」、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発」、「腸換気法を用いた革新的呼吸補助技術の開発」(研究代表者:武部貴則)、科研費 基盤研究(A)「哺乳類腸呼吸メカニズムの理解と制御」(研究代表者:武部貴則)、Readyfor クラウドファンディングによる 263 名のご寄付(世界初の腸呼吸で、呼吸に苦しむ患者さんを助けたい!)、川上肇氏のご寄付等の支援により行われたもので、国際科学誌 iScience、2023 年 3 月 17 日号に掲載されます。
○ 肺機能を一定にした低酸素血症ブタを用いて腸換気法による全身の酸素化効果を実証しました。
○ 腸換気法は、酸素化に加え、二酸化炭素の低減、すなわち換気効果をもたらすことが判明しました。
○ 腸管から流出する複数の静脈血行を介して酸素化をもたらすメカニズムを解明しました。
○ 大動物での概念実証により、呼吸不全に対する全く新しい呼吸補助療法の開発に貢献します。
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掲載誌:iScience
論文タイトル:Enteral liquid ventilation oxygenates a hypoxic pig model
DOI: https://doi.org/10.1016/j.isci.2023.106142
藤井 祐 (フジイ タスク) Tasuku Fujii
名古屋大学医学部附属病院
麻酔科 病院講師
・研究領域
麻酔科学、集中治療医学
西脇公俊 (ニシワキ キミトシ) Kimitoshi Nishiwaki
名古屋大学大学院医学系研究科
麻酔・蘇生医学 教授
・研究領域
神経原性肺水腫発症機序、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)
芳川豊史 (ヨシカワ トヨフミ) Toyofumi Fengshi Chen-Yoshikawa
名古屋大学大学院医学系研究科
呼吸器外科学 教授
・研究領域
肺移植、手術シミュレーション、肺癌
武部貴則 (タケベ タカノリ) Takanori Takebe
東京医科歯科大学 統合研究機構
先端医歯工学創成研究部門 創生医学コンソーシアム 教授
・研究領域
幹細胞生物学、再生医学
English ver.
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_E/research/pdf/iSc_230313en.pdf
医学部附属病院 藤井 祐 病院講師
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/anesthesiology/