名古屋大学大学院工学研究科の河口 信夫教授の研究グループと、株式会社ブログウォッチャーは、日本の主要8都市(東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、京都、広島、福岡)のエリア利用パターンのクロスシティ分析と、それを可能にするアンカー付きエリア埋め込み注2)データセット「OpenUAS」の公開に関する論文を発表しました。
名古屋大学とブログウォッチャーが特許技術
(https://www.blogwatcher.co.jp/new-s/nagoyadai-tokkyo/ ) を用いた都市のエリア利用パターン分析は、市場分析や都市計画、交通インフラの開発、感染予測など、さまざまな分野で活用が期待されるものでしたが、異なる都市や時期のエリア埋め込みデータを、生の位置データを共有することなく共通の空間で比較することは技術的に難しい問題がありました。
そこで本研究では、埋め込み空間に複数の標準ベクトル(アンカー)を設定し、それらの位置を固定することで、異なるデータセット間の比較を可能にするアンカリング手法を提案しました。これにより、都市開発や地域活性の分析・研究を行う研究者らが、担当地域と類似の利用形態を持つ別地域とを比較する研究が容易になることが期待されます。
本研究成果は、 arXiv (プレプリントサーバ)で公開されています。
URL: https://arxiv.org/abs/2407.19872
・日本の主要8都市における、大規模移動履歴に基づく130万 × 50mメッシュ注1)ごとのエリア使われ方データセットを公開。
・本データセットにより、市場分析や都市計画のための、都市における各エリアの機能分析に利用可能。
・アンカリング手法により、他の都市の位置情報データホルダが、生データの共有なしに、都市を跨ぐエリア間の比較が可能に。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
注1) メッシュ:
特定の地域を一定の大きさの正方形で区切った、地理空間上の一単位。本研究では50m四方と250m四方のメッシュで地域を分割。
注2)エリア埋め込み:
特定の地域(エリア)を数値ベクトルで表現したもの。類似した傾向を持つエリア同士が、ベクトル空間上で近い値を持つ。
公開先: arXiv https://arxiv.org/abs/2407.19872
論文タイトル:OpenUAS: Embeddings of Cities in Japan with Anchor Data for Cross-city Analysis of Area Usage Patterns
著者:田村直樹、庄子和之、片山晋、浦野健太、米沢拓郎、河口信夫
DOI: 10.48550/arXiv.2407.19872
URL: https://arxiv.org/abs/2407.19872
大学院工学研究科 河口 信夫 教授、田村 直樹
https://www.ucl.nuee.nagoya-u.ac.jp/