大分大学医学部皮膚科学講座の酒井貴史講師、波多野豊教授、大分大学医学部薬理学講座の石崎敏理教授、名古屋大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻生命情報論講座の山西芳裕教授らの研究グループの論文が、令和 7 年(2025 年)4 月 26 日に皮膚科学分野の国際英文誌である「Journal of Dermatological Science」に掲載されました。
本研究グループは、数千万件に及ぶ臨床データから乾癬※1 の予防薬候補を予測し、さらに予測された数百種類もの候補薬剤について、共通構造を AI(機械学習)によって解析することで、乾癬に対する新たな治療標的を探索しました。
その結果、パーキンソン病治療薬が乾癬の予防薬候補として浮上し、ドーパミン受容体の一種である DRD2(dopamine receptor D2)が乾癬の新たな治療標的として予測されました。そして、実際に DRD2 に対する作動薬を乾癬モデル動物に投与したところ、その治療効果が実証されました。
今回開発された解析手法は、乾癬や皮膚疾患にとどまらず、今後、幅広い疾患への応用や、創薬の促進につながることが期待されます。
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※1 乾癬(かんせん):皮膚に赤く盛り上がった皮疹と白色の鱗屑(かさぶた状のもの)を特徴とする、慢性の炎症性皮膚疾患。乾癬の有病率は人口のおよそ 0.1-1.5%で、日本の患者数は約 43 万人との報告あり。
掲載誌:Journal of Dermatological Science
論文名:Big data-driven target identification by machine learning: DRD2 as a therapeutic target for psoriasis
ビッグデータと機械学習による治療標的探索:乾癬の新たな治療標的候補 DRD2 の発見
著者:酒井貴史、澤田隆介、一ノ瀬音葉、寺林健、波多野豊、山西芳裕、石崎敏理.
DOI: 10.1016/j.jdermsci.2025.04.012
URL: https://www.jdsjournal.com/article/S0923-1811(25)00068-4/fulltext
大学院情報学研究科 山西 芳裕 教授
https://yamanishi.cs.i.nagoya-u.ac.jp/index_J.html