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工学

2025.06.27

「横型トムソン効果」の観測に世界で初めて成功 ~トムソン効果発見から170年 新原理により次世代熱マネジメント技術の創出へ~

【研究概要】

NIMSは、名古屋大学・東京大学との共同研究により、金属や半導体に熱流、電流、磁場を互いに直交する方向に印加すると吸熱や発熱が発生する現象「横型トムソン効果」を観測することに世界で初めて成功しました。本研究により、熱・電気・磁気変換現象に関する物理および物質・材料科学のさらなる発展や、新たな熱マネジメント技術の創出が期待されます。この研究成果は、6月26日にNature Physics誌に掲載されました。

 

今回、当研究チームは、熱流、電流、磁場を互いに直交する方向に印加した際に、ビスマス-アンチモン合金において従来の熱電効果では説明できない吸発熱信号を観測しました。この吸熱・発熱は磁場方向の反転によって切り替え可能であり、横型トムソン効果から期待される振る舞いと一致しました(図1f)。横型トムソン効果はネルンスト効果とエッチングスハウゼン効果が同時に発現することによって生じ、従来のトムソン効果とは本質的に異なる現象です。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

題目:Observation of the transverse Thomson effect
著者:Atsushi Takahagi, Takamasa Hirai, Abdulkareem Alasli, Sang Jun Park,Hosei Nagano, and Ken-ichi Uchida
雑誌:Nature Physics
DOI:10.1038/s41567-025-02936-3
URL:https://www.nature.com/articles/s41567-025-02936-3
掲載日時:2025年6月26日

 

【研究代表者】

大学院工学研究科 長野 方星 教授, 主著者 高萩 敦(博士後期課程学生)

https://www.eess.mech.nagoya-u.ac.jp/