理化学研究所(理研)開拓研究所伊丹分子創造研究室の伊丹健一郎主任研究員(環境資源科学研究センター拡張ケミカルスペース研究チームチームディレクター、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)主任研究者)、奥村翼研修生(名古屋大学大学院理学研究科博士前期課程学生)らの国際共同研究グループは、炭素でできた筒状分子であるカーボンナノベルトの一挙多官能基(機能を持った原子団)化法の開発に成功しました。
本研究成果により、カーボンナノベルトが分子認識[1]化学や超分子[2]材料へと展開されることが期待されます。
本研究の結果、従来困難であったカーボンナノベルトの性質制御が、温和な条件かつ簡便に実行できるようになりました。この多官能基化によって溶解性が劇的に向上するだけでなく、分子構造の可変的制御が可能となることが分かりました。
本研究は、科学雑誌『Angewandte Chemie International Edition』オンライン版(7月6日付)に掲載されました。
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[1] 分子認識
ある分子もしくは分子の集合体が特定の別の分子のみを選択して会合する過程のこと。生化学で重要な役割を果たしていると考えられている。
[2] 超分子、超分子化学
複数の分子が共有結合以外の結合(水素結合や疎水性相互作用など)によって秩序だって集合した化学種のことを超分子という。超分子化学はこれを研究する学問領域を指す。
<タイトル>
Twelvefold Dearomative Esterification of (6,6)Carbon Nanobelt
<著者名>
Tsubasa Okumura, Daiki Imoto, Yuri Arachi, Akiko Yagi, Takehisa Maekawa, Kenichiro Itami
<雑誌>
Angewandte Chemie International Edition
<DOI>
10.1002/anie.202510544
<URL>
https://doi.org/10.1002/anie.202510544
トランスフォーマティブ生命分子研究所 伊丹 健一郎 主任研究者, 奥村 翼(博士前期課程学生), 井本 大貴(博士後期課程学生)
https://synth.chem.nagoya-u.ac.jp/wordpress/