・観測空白域であった東南極の氷床内陸域の気候変動を初めて解析。
・内陸域における年平均気温が世界平均より早い速度で上昇していることが判明。
・東南極の内陸域では沿岸域よりも内陸域で先に温暖化が進行することを発見。
・南インド洋の温暖化が大気変動を引き起こし、その影響は南極内陸域まで拡散。
名古屋大学宇宙地球環境研究所の栗田 直幸 准教授、国立極地研究所の本山 秀明 名誉教授、平沢 尚彦 助教、北見工業大学工学部地球環境工学科の亀田 貴雄 教授らの研究グループは、南極ドームふじ基地およびその周辺地域で行われた過去30年間の地上気温観測データを取りまとめ、同地域で1990年代以降温暖化が継続していることを発見しました。また気象・海洋データを使った解析より、南インド洋で海面温度が上昇し、それに伴う大気変動が南極内陸域の温暖化を引き起こしていることを突き止めました。
本研究は、観測空白域となっている東南極の氷床内陸域の気候変動を明らかにした初めての研究であり、当該地域では沿岸域よりも先に内陸域で地球温暖化の影響が進行することを示した研究成果です。
本研究成果は、2025年7月22日にイギリス科学誌「Nature Communications」で公開されました。
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雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Summer warming in the East Antarctic interior triggered by southern Indian Ocean warming
著者:Naoyuki Kurita, David H. Bromwich, Takao Kameda, Hideaki Motoyama, Naohiko Hirasawa, David E. Mikolajczyk, Lind M. Keller, and Matthew Lazzara
DOI: 10.1038/s41467-025-61919-3
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-025-61919-3