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環境学

2026.05.01

廃PETからMOFを直接合成する新技術を開発 高収率81.7%を達成、CO2吸着の産業応用へ大きく前進

【ポイント】

・廃PET(ポリエチレンテレフタレート)注1)ボトルを分解・精製せずに直接「有機金属構造体(MOF)」注2)へ変換する手法を開発。
・短時間で最大81.7%の高収率合成を達成。
・アミン修飾注3)によりCO2吸着注4)性能を向上。

 

名古屋大学大学院環境学研究科のKayee Chan(カイー チャン)博士(現:香港理工大学)、ジンチェンコ アナトーリ准教授、名古屋大学大学院工学研究科の川尻 喜章 教授、Frantisek Miksik(フランティシェク ミクシイク)特任准教授らの研究グループは、廃PETボトルを原料として、多孔性材料「金属有機構造体(MOF)」を直接合成する手法を開発しました。
本研究では、従来必要とされていたPETの分解・精製工程を省略し、水熱反応によるone-potプロセス注5)によりクロム系MOFの合成に成功しました。その結果、短時間で最大81.7%という高収率を達成し、従来法に比べて大幅に効率を向上させました。
この材料は高い比表面積注6)(約2400 m2/g)を有し、廃PETを原料としても、純粋な原料から合成したMOFと同程度のCO2吸着性能を示すことが確認されました。加えて、アミン修飾によりCO2吸着性能が向上し、特に低圧条件において最大約10倍の吸着性能向上を示しました。また、10 gスケールの材料を用いた連続流通条件下での評価により、実用環境に近い条件においても高いCO2吸着性能と安定した再利用性を有することが実証されました。
本技術は、廃プラスチックの高付加価値化とCO2回収を両立するものであり、炭素回収・貯留注7)や排ガス処理プロセスへの応用が期待される、産業応用に向けた材料製造プロセスの高度化に貢献するものです。
本研究成果は、2026年4月19日に学術誌「Chemical Engineering Journal」にオンライン掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)PET(ポリエチレンテレフタレート):
飲料ボトルや包装材料などに広く使用される代表的なプラスチック。
注2)有機金属構造体(MOF):
金属イオンと有機配位子から構成される多孔性材料。極めて高い比表面積と細孔構造を有し、ガス吸着や分離、触媒などに応用される。
注3)アミン修飾:
材料表面や細孔内にアミン基(–NH2など)を導入することで、CO2との相互作用を強化し、吸着性能を向上させる手法。
注4)CO2吸着:
二酸化炭素分子を固体材料の表面または細孔内に取り込む現象。温室効果ガスの回収技術として重要である。
注5)one-potプロセス:
複数の反応工程を分離せず、単一の反応容器内で連続的に進行させる合成手法。工程の簡略化やコスト削減が可能である。
注6)比表面積:
材料の単位質量あたりの表面積を示す指標。値が大きいほどガス吸着性能が高い傾向がある。

 

【論文情報】

雑誌名:Chemical Engineering Journal
論文タイトル:Direct Synthesis of Chromium MOF from Waste PET Bottles and Amine Modification: From Sustainable Upcycling to Dynamic CO2 Capture
著者:Kayee Chan, Frantisek Miksik, Hao Wang, Guanglong Huang, 林 英樹, 川尻 喜章ジンチェンコ アナトーリ* 下線は本学関係者 *は主著者
DOI:10.1016/j.cej.2026.176457

URL:https://doi.org/10.1016/j.cej.2026.176457

 

【研究代表者】

大学院環境学研究科 ジンチェンコ アナトーリ 准教授
https://www.urban.env.nagoya-u.ac.jp/suschem/indexj.html