理化学研究所(理研)生命医科学研究センター構成的細胞生物学研究チームのツアン・トゥイ・リン特別研究員、宮﨑牧人チームディレクター(科学技術振興機構(JST)創発研究者)、名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻の成田哲博准教授、ウィタヤシリメティー科学技術大学院大学(VISTEC)生体分子理工学研究科のロビンソン・チャールズ・ロバート教授(岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)客員教授)らの国際共同研究グループは、約27億年前に誕生したと考えられるアスガルド古細菌[1]が持つタンパク質を分析し、真核生物の細胞骨格の祖先と考えられる「原始的な微小管[2]」を発見しました。
本成果は、微小管の進化の過程を理解する上で重要な知見であり、真核生物誕生の謎の解明に貢献すると期待されます。
微小管はチューブリン(tubulin)[3]というタンパク質がたくさん集まる重合という反応でできた、管状の線維です。私たちヒトを含め真核生物に共通する重要な細胞内構造で、細胞の形の制御や細胞分裂、細胞内の物質輸送などの重要な機能を担っています。これまで、複雑な微小管がどのように進化したのかはよく分かっていませんでした。今回、国際共同研究グループは、真核生物に最も近縁とされるアスガルド古細菌の一種である、ヘイムダル古細菌が持つチューブリン様タンパク質の構造と機能を調べました。その結果、真核生物の微小管に特徴的な四つの性質を持ちながらも、真核生物よりも細くて単純な“ミニマル(最小限の)微小管”をつくることを発見しました。
本研究は、科学雑誌『Science Advances』オンライン版(7月15日付:日本時間7月16日)に掲載されました。
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[1] アスガルド古細菌
真核生物に最も近縁と考えられている古細菌のグループ。真核細胞の起源を考える上で重要な生物群であることから、近年注目を集めている。
[2] 微小管
真核細胞に備わる細胞骨格の一種。チューブリン([3]参照)というタンパク質からできた管状の線維で、細胞の形の維持、細胞分裂、細胞内輸送などに関わる。
[3] チューブリン(tubulin)
微小管をつくるタンパク質。αチューブリンとβチューブリンが二量体をつくり、それが多数集まって微小管を形成する。
<タイトル>
Structure and dynamics of a four-protofilament microtubule from Heimdallarchaeales α/β-tubulin
<著者名>
Linh T. Tran, Samson Ali, Tomoharu Matsumoto, Yosuke Yamazaki, Akihiro Narita, Makito Miyazaki, Robert C. Robinson
<雑誌>
Science Advances
<DOI>
10.1126/sciadv.aeh4305
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aeh4305
大学院理学研究科 成田 哲博 准教授
http://str.bio.nagoya-u.ac.jp:8080/Plone/6210753030eb30fc