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医歯薬学

2026.09.03

腸内細菌とビタミンのやり取りの見える化に成功 ― 便中ビタミンを「細菌の内と外」に分ける新手法で腸内細菌の分業関係を解明 ―

【ポイント】

腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)(注1)は、互いに代謝物を作り、利用し合うことで複雑な生態系を形成しています。しかし従来の便中代謝物解析では、細菌の外に存在する物質と、細菌の中に保持されている物質をまとめて測定するため、「誰が作り、誰が使っているのか」を推定することは困難でした。
今回、中部大学生命健康科学部作業療法学科の平山正昭教授(論文筆頭著者・共同責任著者)、名古屋大学大学院医学系研究科の伊藤美佳子講師、上山純教授(共同責任著者)らの研究グループは岩手医科大学 医学部の前田哲也教授らの協力を得て、健常者63名の便を破砕前後で測定し、水溶性ビタミンを「細胞外(注2)に存在しやすいもの」と「細胞内(注2)に保持されやすいもの」に分類しました。さらにショットガンメタゲノム解析(注3)と統合することで、腸内細菌のアリスティペス(Alistipes)とビオチン(ビタミンB7)、腸内細菌のブラウティア(Blautia)とチアミン(ビタミンB1)など、腸内細菌とビタミン利用の特徴的な関係を明らかにしました。今回の成果は、8月24日(英国夏時間)付で腸内細菌の専門誌Gut Microbesに掲載されました。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1 腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)
腸内に存在する多数の細菌などの微生物と、その遺伝子や機能の集まりです。

注2 細胞外/細胞内
細菌の外に存在して周囲から利用可能な代謝物と、細菌の内部に保持されている代謝物を意味します。

注3 ショットガンメタゲノム解析
便などに含まれる微生物のDNAを幅広く解析し、どの細菌が存在するかだけでなく、どのような代謝機能を持つ可能性があるかを調べる方法です。

 

【論文情報】

〈論文の情報〉
雑誌名: Gut Microbes
論文タイトル: Separating extracellular from intracellular fecal metabolites exposes cross-feeding architecture in the gut: Exploring metabolite partitioning and ecological associations
著者: Masaaki Hirayama, Fuka Takame, Tetsuya Maeda, Kenichi Kashihara, Mikako Ito, Kinji Ohno, Jun Ueyama
DOI: 10.1080/19490976.2026.2719062
URL: https://doi.org/10.1080/19490976.2026.2719062

 

【研究代表者】

大学院医学系研究科 上山 純 教授
https://nagoya-u-hbm-laboratory.jimdofree.com/