・健康上の気がかりを抱える高齢者が「住まい(HOME)」注1)に見いだす意味を分析:
65歳~95歳(平均73.3歳)のさまざまな地域で暮らす高齢者54人へ「住まいの意味」に
関するインタビューを行い、参加者に共通してみられた意味を整理しました。
・高齢者が「住まい」に見いだす4つの意味:
①生活が自律的で自立していること、②生活の継続性を支える住環境があること、③慣れ親しんだ愛着のある場所であること、④自分にとって意味ある他者とのつながりがあること という4側面に整理されました。
・「住まいの意味」を尊重し、その人らしい暮らしを支える在宅ケアのあり方を提起:
在宅ケア専門職には「生活へのコントロール感覚・住環境への慣れ親しみと愛着・その人が望む距離感と役割を尊重しながら自立・安全・他者とのつながりを支える」ケアが求められます。
名古屋大学大学院医学系研究科の拝田 一真 助教は、千葉大学運営基盤機構ダイバーシティ推進部門の山﨑 由利亜 特任助教、千葉大学大学院看護学研究科の菅原 七海 院生と共同研究を行い、健康上の気がかりを抱えながら暮らしている高齢者54人に対して「住まいの意味」に関するインタビュー調査を実施しました。
研究参加者は平均73.3歳であり、男性33人・女性21人でした。健康上の気がかりは筋骨格系が最も多かった一方で、51人は自立歩行が可能でした。居住状況は一軒家36人・集合住宅18人、持ち家48人・賃貸住宅6人でした。居住地域は、都市部19人・郊外29人・農村/漁村地域6人でした。このような特徴の高齢者らの語りから明らかにされた「住まいの意味」は、①生活が自律的で自立していること(他者から干渉されない自由と他者に迷惑をかけない自立性が保たれていること)、②生活の継続性を支える住環境があること(周辺地域を含む住環境に安心安全・静穏性・利便性が備わっていること) 、③慣れ親しんだ愛着のある場所であること(慣れ親しみと個人史やこだわりに根ざした愛着を感じられること) 、④自分にとって意味ある他者とのつながりがあること(心地よい距離感で他者とつながり役割を通じて支え合うこと)という4つの意味に整理されました。本研究は、在宅ケア専門職には、その人らしい暮らしを支えるために、その人それぞれが大事にしている「住まいの意味」に関心を寄せ「生活へのコントロール感覚・住環境への慣れ親しみと愛着・その人が望む距離感と役割を尊重しながら自立・安全・他者とのつながりを支える」ケアが求められると提起しています。
本研究成果は、2026年9月2日に国際学術雑誌『International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being』にオンライン掲載されました。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
注1)住まい:
本リリースでは、海外の先行研究を踏まえて、建物としての住宅にとどまらず、アイデンティティをはじめとするさまざまな個人的な意味に関わる多面的な現象として本研究で探究した「HOME」を、「住まい」と表記している。
雑誌名: International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being
論文題目: Meaning of home among community-dwelling older adults with health concerns: a reflexive thematic analysis
著者: Kazuma Haida, Yuria Yamasaki, Nanami Sugawara
DOI: 10.1080/17482631.2026.2721734
URL: https://doi.org/10.1080/17482631.2026.2721734