・植物は、一部の根が窒素不足を感知すると、他の根で窒素吸収を相補的に活性化することで、植物全体の窒素栄養を最適に保つしくみを持っている。
・このしくみは、根でつくられた空腹ホルモンCEP注1)が葉に移行して受容体CEPR1に結合することにより活性化する。
・本研究では、受容体CEPR1と共にはたらく共受容体CERIを発見した。
・植物が自然界で変動する窒素環境を生き抜くしくみの一端が明らかになった。
・より少ない窒素肥料で作物生産を行うための品種改良への応用が期待される。
名古屋大学大学院理学研究科の大西(小川) 真理 助教、野村 泰三 博士前期課程学生(当時)、松林 嘉克 教授らの研究グループは、植物において一部の根が窒素不足を感知すると、他の根で窒素吸収を相補的に促進するしくみ「全身的窒素要求シグナリング」に関わる新たなタンパク質CERIを発見しました。植物は、一部の根が土壌中の窒素不足を感知すると空腹ホルモンCEPを葉に送り、これを受け取った葉は不足分を補うために根に対して窒素吸収を促進する指令を出します。CERIは、根由来のCEPを葉で受容する際に、受容体CEPR1と共にはたらく分子で、共受容体と呼ばれる膜タンパク質の一種です。CEPR1がCEPを認識すると活性化してCERIをリン酸化し、細胞内のシグナル経路がONになります。CERIを欠損した植物では、全身的窒素要求シグナリングが失われます。この成果は、植物が自然界で変動する窒素環境を生き抜くしくみの一端を解き明かすとともに、より少ない窒素肥料で作物生産を行うための品種改良への応用が期待されます。本研究成果は、2026年9月8日18時(日本時間)付英国科学誌『Nature Plants』に掲載されました。
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注1)空腹ホルモンCEP(C-terminally Encoded Peptide):
15アミノ酸から構成される短鎖ペプチドで、窒素欠乏を感知した根でつくられ、水を通す管である道管を通って葉に送られる。
(参考)2014.10.14プレスリリース
植物の根における窒素栄養取込み効率を制御するホルモンを発見-窒素飢餓に強い作物の作出への応用に期待-
雑誌名:Nature Plants
論文タイトル:An LRR co-receptor kinase essential for systemic nitrogen-demand signalling
著者:Mari Ogawa-Ohnishi1, Taizo Nomura1, Yoko Hayashi, Yasuko Yamashita, Saki Noda, Reiji Suda, Yuri Ohkubo, Yoshikatsu Matsubayashi*(1共筆頭著者)
DOI: 10.1038/s41477-026-02391-9
URL: https://doi.org/10.1038/s41477-026-02391-9