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人文学

2021.10.04

日本列島でのブタ飼育は、弥生時代ではなく、縄文時代にすでに行われていた?

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学博物館・大学院情報学研究科の新美 倫子 准教授は、沖縄県立埋蔵文化財センターの盛本 勲氏(当時)との共同研究で、沖縄の代表的な縄文時代の遺跡である野国貝塚(沖縄県嘉手納町)から出土したおよそ7500〜7200年前のブタ個体群を、下顎骨を用いて年齢査定を行った結果、高齢個体が多い特徴を明らかにしました。
野生状態では高齢まで生き残る個体は少ないため、これらの高齢個体が生存しているのは、人間がこれらのブタを保護・管理、つまり飼育していた証拠と考えることができます。
野国貝塚で出土したブタ個体群は、中国大陸から持ち込まれたものです。狩猟や採集で生活する縄文時代の沖縄の人々が、農耕を行う中国と同様にブタを飼育することができたのかどうかは分かっておらず、日本列島におけるブタの飼育は、弥生時代に始まったと考えられてきました。
沖縄では、縄文時代早期の終わり頃には、人々がブタを飼育していたことが明らかになったことで、日本列島でのブタ飼育の歴史が、一気に4000年ほど古くなったことになります。
この研究成果は、2021年9月10日付沖縄動物考古学会の学術雑誌『南島考古』40号に掲載されました。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援のもとで行われたものです。

 

【ポイント】

・野国貝塚(沖縄県嘉手納町)に中国大陸から持ち込まれた7200年前のブタ個体群の年齢構成を、下顎骨を用いて分析した結果、高齢個体が多い特徴が明らかになった。
・野生状態では、高齢まで生き残る個体は少ないので、高齢個体が生存しているのは、人間がこれらのブタを保護・管理、つまり飼育していたからと考えられる。
・狩猟や採集で生活する縄文時代の沖縄の人々が、農耕を行う中国と同様にブタを飼育することができたのかどうかは不明であったが、この結果から、野国貝塚では7200年前の縄文時代早期にはすでにブタ飼育を行っていたことが明らかになった。

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【論文情報】

掲載紙:南島考古40号
論文タイトル:野国貝塚群B地点出土イノシシ類の年齢構成と性比について
著者:新美倫子(名古屋大学博物館・情報学研究科)・盛本勲(元沖縄県立埋蔵文化財センター)

 

【研究代表者】

名古屋大学博物館/大学院情報学研究科 新美 倫子 准教授
https://niimiken.jimdosite.com