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工学

2023.07.06

製造プロセスの自動化を実現するAI制御アルゴリズムを開発 ~浮遊帯域溶融法による結晶成長プロセス自動化へ~

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学未来材料・システム研究所の原田 俊太准教授は、株式会社Anamorphosis Networksとの共同研究で、製造プロセスの自動化を実現するAI制御アルゴリズムを開発しました。製造の現場では、装置の状態や環境に合わせて熟練者が手動で調整を行うプロセスが数多く存在し、自動化が困難な場合があります。
原田俊太准教授らの研究チームは、限られた操業データから内部状態の変化を推定するモデルを構築し、強化学習を応用して、人間でなければ難しかった操業を自動的に制御するアルゴリズムの開発に成功しました。現在、研究チームはこのアルゴリズムを実際の製造現場へと適用するために、結晶製造装置を製造する株式会社三幸と共同で、自動操業が可能な結晶成長装置のプロトタイプ開発に取り組んでいます。開発したアルゴリズムは、人が介在する様々な製造プロセスに応用することが可能であり、製造業のスマート化に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2023年7月31日に、International Conference on Crystal Growth and Epitaxy(ICCGE-20)において、招待講演として発表されます。

 

【ポイント】

・製造プロセスの自動化を実現するAI制御アルゴリズムを開発
・浮遊帯域溶融(Floating zone melting: FZ)法注1)による結晶成長プロセスの自動化をシミュレーションで実証
・自動操業結晶成長装置のプロトタイプ開発に着手

 

◆詳細(プレスリリース本文)はこちら

 

【用語説明】

注1)浮遊帯域溶融(Floating zone melting: FZ)法:
棒状の原料の一部を溶融し、溶融帯を形成し、原料棒と結晶を降下させながら単結晶を育成する方法。融液部分を保持するための容器を用いないため、高純度の結晶育成が可能であり、シリコンウエハの製造にも用いられている。

 

【論文情報】

雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:Data-driven automated control algorithm for floating-zone crystal growth derived by reinforcement learning
著者:Yusuke Tosa, Ryo Omae, Ryohei Matsumoto, Shogo Sumitani, and Shunta Harada
DOI: 10.1038/s41598-023-34732-5
URL: https://doi.org/10.1038/s41598-023-34732-5

 

雑誌名:Science and Technology for Advanced Materials: Methods
論文タイトル:Prediction of operating dynamics in floating-zone crystal growth using Gaussian mixture model
著者:Ryo Omae, Shogo Sumitani, Yusuke Tosa, and Shunta Harada
DOI: 10.1080/27660400.2022.2107884
URL: https://doi.org/10.1080/27660400.2022.2107884

 

【研究代表者】

未来材料システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センター 原田 俊太 准教授