工学
2025.04.02
大気中の二酸化炭素を分離回収してドライアイス化する 「Cryo-DAC®」のベンチスケール実証を開始 ~万博会場でも回収試験を行います~
名古屋大学と東邦ガス株式会社(以下、東邦ガス)、学校法人東京理科大学(以下、東京理科大学)は、未利用のLNG冷熱※1を活用して大気中から直接CO₂を分離回収する技術「Cryo-DAC®」(クライオダック)※2について、4月1日から、名古屋大学東山キャンパスにて、ベンチスケール実証※3を開始しました。
Cryo-DAC®は、2020年8月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「ムーンショット型研究開発事業※4」に採択された技術です※5。これまで東京大学、学校法人梅村学園中京大学、日揮株式会社(2021年11月参画)と研究に取り組んできており、吸収液の開発や極低温下で使用可能な金属材料の選定、プロセス評価など、順調な成果を得られていることから、NEDOによる中間評価(ステージゲート審査)を通過し、2025年4月からは新たにAGC株式会社が参画いたします。
引き続きNEDOの支援を受けて、2040年ごろの実用化を目指し、主要技術である3工程(CO₂の吸収、再生、昇華)の設備を連結させたベンチスケール機による連続運転を実証するとともに、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でも回収試験※6を行います。
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
※1 LNG(液化天然ガス)がマイナス約160℃の液体から常温の気体に戻る過程で周りから熱を吸収するエネルギー。
※2 「化学吸収法」と呼ばれるCO₂分離回収技術のひとつ。吸収液を用いてCO₂を分離回収する方法で、大気などの低濃度なCO₂排出源からの回収に適しており、中でも「Cryo-DAC®」は未利用のLNG冷熱を活用することで、CO₂の分離回収にかかるエネルギーとコストを大幅に低減できる特徴を有する。
※3 複数要素の技術を組み合わせ、一連のシステムとして行う試験。
※4 超高齢化社会や地球温暖化など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進する制度。
※5 2021年1月25日に発表済。詳細は
https://www.nagoya-u.ac.jp/info/upload_images/20210125_engg1.pdf
およびhttps://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1219823_1342.htmlに記載。
※6 詳細はhttps://www.expo2025.or.jp/future-index/green/dac_2/を参照。
未来社会創造機構 脱炭素社会創造センター 則永 行庸 教授
https://www.material.nagoya-u.ac.jp/nori_lab/
~Researchers' VOICE~No.56 町田 洋 准教授に一問一答!