No.56 和氣 弘明 教授
Researchers'
未来社会創造機構脱炭素社会創造センター
No.55 町田 洋 准教授
博士課程の頃、研究成果がなかなか出ず苦労していた時にM1を見ていました。あの頃は特に斬新な成果を求めていた気がします。そんなときにブラックマヨネーズの漫才のあと審査員の大竹まことさんが「今の時代の漫才で、しゃべくりだけでこんなにシンプルに笑わせることができることにびっくりした」という発言があり、印象的でした。研究も斬新さだけ求めるのではなく、今ある技術を心底極めることも重要なのではと思いました。
温室効果ガスである二酸化炭素を効率的に回収する材料やプロセスの研究をしています。いかに低エネルギーで回収するかがカギとなっていて、これまでにないユニークな材料の開発を進めています。特に二酸化炭素の吸収に適した分子構造の最適化という小さなスケールから、二酸化炭素を吸収するために実際にプラント*1を運転した際の必要なエネルギーを計算するという大きなスケールまでを一気通貫で取り組んでいます。
*1 プラント...一般には原料から化学製品を製造する工場やエネルギーを作る発電所などの総称で、大規模な生産をすることが可能です。ここでは二酸化炭素を回収する設備のことで、大きな規模では年間約100万トンの二酸化炭素を回収する設備があります。
修士課程、博士課程と納得出来る結果が出ず、次こそはという思いが継続し、研究者に至ります。
自分の研究は上手くいかない記憶ばかりで面白いと思った瞬間は数少ないですが、実験データと自分の考えたモデルが一致すると嬉しい気持ちになります。
最近は学生が予想以上の結果を持ってくるととても興奮します。
現在、文系と理系の専門の先生が融合したプロジェクト*2に参画する機会を得ました。温暖化の解決には、技術だけでなく社会の受容性、政治、法律、経済などの専門の先生との連携が重要です。本プロジェクトでは特に水素社会の実現に向けた取り組みを進めており、専門の違う先生方の話を聞くことで、新しい視点で物事を捉えられる等、日々刺激を受けています。
*2 石川知子国際開発研究科教授代表のプロジェクト「日本学術振興会 学術知共創プログラム重層的アクターの協調を生み出す気候変動ガバナンスの構築ー低炭素水素事業に着目して」
昨年度、上でも紹介した水素社会実現の取り組みに関しての国際会議を主催・運営しましたが、オンライン、オンサイト同時の国際会議の運営、同時通訳の準備、海外招待者の手配など初めての経験もあり、とても大変でした。しかし、未来社会創造機構の支援をはじめ、たくさんのサポートで無事開催出来て、嬉しく思っています。
家族とゆっくりするか、買い物、旅行に行くのが楽しみです。最近は少しジョギングもしています。
今取り組んでいる二酸化炭素回収技術の実用化が目標です。また、教科書に載るような基礎的な分野に関しても成果が出せたら本望です。
氏名(ふりがな) 町田 洋(まちだ ひろし)
所属 名古屋大学未来社会創造機構 脱炭素社会創造センター
職名 准教授
略歴・趣味
2009年3月東北大学大学院工学研究科化学工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)研究員、名古屋大学大学院工学研究科助教を経て、2022年より現職。 趣味:ジョギング、ポッドキャストで歴史を学ぶ