【ポイント】
・名古屋大学の部局横断的チームでワクチン開発プロジェクトが始動します。
・次世代ワクチンモダリティーの開発とサイトメガロウイルスワクチンへの応用を目指します。
名古屋大学大学院医学系研究科ウイルス学の木村宏 教授、佐藤好隆 准教授らの研究グループは、理学研究科の阿部洋 教授、金承鶴 特任教授、医学部附属病院先端開発医療部の水野正明 病院教授、小川靖 講師、小児科の鳥居ゆか 助教と岐阜薬科大学の腰塚哲朗 教授とともに「化学修飾を駆使した次世代型mRNA技術の開発と感染症予防ワクチンへの応用」という研究計画で日本医療研究開発機構 先進的研究開発戦略センターの令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」に採択されました。
本研究プロジェクトでは、次世代型mRNAワクチンモダリティーとして、高い安全性と高い有効性を持つNU-mRNA(ニューmRNA)を開発し、サイトメガロウイルスに対するワクチンの開発を目指します。サイトメガロウイルスワクチンが開発されれば、先天性サイトメガロウイルス感染症(注)の予防が期待できます。
NU-mRNAは、既存のmRNAワクチン(第一世代mRNAワクチン)の構成要素に化学修飾を加えたワクチンプラットフォームで、低用量で免疫が可能になるため、副反応の低減が期待できます。また、複数の抗原を同時に発現可能となり、より幅広い感染症に対して効果的なワクチンになると期待できます。
(注)先天性サイトメガロウイルス感染症:妊婦がサイトメガロウイルスに感染した際に、胎児にも感染し、発症する場合があります。児には先天的な難聴や発達障害が生じます。出生後、遅れて障害を示す場合も報告されており、出生300-1000に対して1例の頻度(国内患者数は6-8万人)と推定されています。